最近、お気に入りはのアルバムは、"The Who Sell Out" です。
曲間に、架空のCMやジングルを入れることで、架空のラジオを聴いている感覚にさせられます。
アルバムの1967年にリリース時には13曲でしたが、1995年にリマスターされた時には23曲に増え、更に架空のラジオ局を聴いている感覚を増大させることに成功させました。
ジングルやCM曲を聴いていますと、1967年頃の英国のラジオ局の様相に思いを巡らしてしまいます。
イングリッシュ・ブレックファーストには欠かせない、ハインツのベイクド・ビーンズのCMが、いきなり2曲目で披露されて、思わず微笑ましくなってしまいます。
リマスター後に追加された曲ですが、コカコーラや車のジャガーの架空のCMも入っています。
この架空のCMに釣られて、私は本当にジャガーを購入してしまいました。
収録曲は、どれも当時の大企業の広報に受けそうなポップな曲が満載です。
全体を通して聴きますと、本当にカラフルでポップです。
そして、オシャレです。
当時のThe Whoは、ライブの機材が、どんどん良くなり、毎夜ラウドなライブを演奏していました。
しかし、"The Who Sell Out" では、架空のCM風の曲を演奏するので、あえてラウドな演奏を封印し、大企業の重役さんにも受けそうな、ポップな曲を演奏しています。
逆説的に言うならば、当時のラウドなライブで培われて来た演奏テクニックを下地に、CMやジングルで演奏されるスタジオ・ミュージシャン並のテクニックで、ポップな曲を演奏可能であったのだと思います。
そして、最大の功績者は、そういった曲群を書いたソングライターのピート・タウンゼントです。
ピートは、イーリング・アート・カレッジで学んだポップアートを音楽で実現させたのです。