Jacks

28日はJacksの“Vacant World”を聴きました。
Jacksとは信販会社のことではなく、‘60年代の後半に日本で活動したロック・バンドの名前です。
Jacksは、たまに無性に聴きたくなるバンドです。
他の当時の日本のロック・バンドは“資料”として聴く程度ですが、Jacksは本気で聴きたくなるバンドです。

“Vacant World/からっぽの世界” の内容は、曲も歌詞も聴いていると、奈落の底に突き落とされた気分にさせられます。
恐らくそれが、聴いた者がそういった気分にさせようとした意図を感じさせます。
何しろ、“からっぽの世界”ですからね。
でもなぜか、時々また聴きたくなるのです。
クセの強い食べ物を、たまに食べたくなるような衝動に近いかも知れません。

やはり、この日も聴いていて、奈落の底に突き落とされた気分にさせられました。
そんな悲惨な気分にさせられるのに、また聴きたくなるという魔法は、パーカッション、フルート、ヴィブラフォンで彩られた凝ったサウンド作りに理由があるのだと気付かされました。
パーカッション、フルート、ヴィブラフォンは、木田高介さんによるものです。
因みに木田高介さんは、Jacksで活動中は東京芸術大学打楽器科在学中だったので、納得が行きます。
木田高介さんは、このアルバムをリリースの12年後に、31歳という若さで交通事故で他界してしまいます。
ああ、どこまで悲惨な気持ちにさせられるのでしょうか!

近年はカラオケでJacksの曲を歌えるようですが、宴会では決して歌ってはいけないと思います。
からっぽの世界の、“ボク唖(おし)になっちゃった”の一節を歌っただけで、周囲の宴会気分が吹き飛んでしまいそうですからね。

ジャックスの世界(紙ジャケット仕様)
ジャックス
EMIミュージックジャパン
2011-10-26