Tommy

2日はThe Whoの"Tommy"を聴きたい気分になり、聴きました。
The Whoの大ファンの私ですが、未だに"Tommy"は聴く前に勇気がいります。

なぜならば、曲とLylicsに、人間の心の闇を感じるからです。
演奏する側でも、ソングライターでギタリストのピート・タウンゼントが、近年再演した時に、『演奏していると心が痛む』と述べています。

初期のThe Whoの曲は、ポップなロックで気楽に聴くことが出来ます。
聴くと、『いかしたロックだ!イェーッ!』という感じになります。

でも、"Tommy"はしっかりとした心で聴かないと、ずっしりと気持ちを引きずってしまいます。
人それぞれだと思いますが、私は、そう感じます。

戦争の歌、両親の浮気の歌、四重苦の病気の少年の歌、虐待の歌、いじめの歌、排斥される歌…。
やはり重たいです。

しかしながら、このような重たい曲を、"Tommy"という別人格になりきって歌う、ロジャー・ダルトリーの健気さと度胸に救われてしまいます。
ライブでは、ロジャーが"Tommy"の曲を歌うと、神々しく見えてしまうので不思議です。

ロジャーは、体格はマッチョで、力強い男性に見えます。
しかし、それは実は街のボスのような、正義感から来る男らしさなのだと思います。

ロジャーは病気になった少年を好演し、歌で絶望ではなく未来への希望の光を差し伸べてくれます。

ロジャーのロック・シンガーとしてのアティチュードは、悪い奴(特に支配層)には鉄拳を食らわせ、病気で弱い人を助ける正義感なのだと思います。

現在でも、ロジャーは10代の癌患者を支援する団体、ティーンエイジ・キャンサー・トラストの活動で、病気の若者に手を差し伸べています。



Tommy-Remastered
Who
Geffen Records
2013-11-11