★絵描きの日記

加茂谷正俊のブログです。 絵画を中心に美術やっています。 公募展出展、グループ展や個展などもします。 2010年、2014年、2018年、2022年、富山国際現代美術展に参加。

ロシア

ウラジオストク発

13日はギャラリー・ラヴィで“2009 RUSSIA 6th VLADIVOSTOK International Visualart Biennale現代美術部門 岩手参加者 3人展”のオープニングパーティーに行ってきました。
これは、昨年の10月ロシアのウラジオストクで開催された、ウラジオストク・ビエンナーレに岩手県から出展した3人の作家さん達の作品展です。
その3人は、川口直子さん、 出町隼人さん、そして何と私の絵画の師匠、大宮政郎先生です。
しかも、今回皆さんウラジオストクに作品を置いてきたとのことなので、みなここ2〜3ヶ月で制作した作品ばかりです。
実は、私もウラジオストクに行こうと思って、参加申込書まで取り寄せたのですが、諸事情で行けませんでした。
残念だったので、私はこの展示で楽しんで行こうと思っています。
写真は大宮政郎先生の作品です。

“2009 RUSSIA 6th VLADIVOSTOK International Visualart Biennale現代美術部門 岩手参加者 3人展”は1月23日(土)まで。
盛岡市菜園2丁目3−1  フロムハート 3階 ギャラリー ラ・ヴィ にて開催されます。

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エンディングパーティー

1月31日は彩園子油絵教室展の搬出とエンディングパーティーです。
作品の撤去作業と搬出を早々終え、吹雪の中タクシーに乗って繁華街に向かいました。
ロシア通の大宮政郎先生のもと、盛岡の映画館通りのロシア料理、北斗に行きました。
吹雪の中、ロシア料理を食べるの一興です。

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ロシア料理の定番、ボルシチです。
真っ赤なワイン色です。









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これもロシア料理の定番、ピロシキです。
凄く熱いです。









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こんなバーベキューみたいなメニューも。





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これはメニューの名前は忘れましたが、凄く美味しいです。
シチューをカップに入れて、パイ生地でフタをしたものです。



私はズブロッカで、ベロベロです。


アメリカの意図

なぜ、ロシアがオリンピック開幕と同時にグルジアを攻撃したのか、注目すべきことです。原因の根幹は、グルジアを通る石油のパイプラインを巡る利権にあります。そこには、当事者のロシアとグルジアだけでなく、グルジアに肩入れするアメリカの姿が見え隠れします。この政治的駆け引きは、明らかに、世界のマスコミの報道がオリンピックに集中して、手薄になっている時を狙ってやっているとしか思えません。気の早いマスコミは、『新冷戦』という表現まで用いています。アメリカの軍需産業は、冷戦が都合の良い構造であったので、冷戦の復活を待望している人も多数居るでしょう。冷戦やテロとの戦争など、あらゆる戦争を維持しなければならないアメリカ社会が、時に不憫に思える時があります。

愛すべきピロスマニ

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渋谷のBunkamuraで開催中の『青春のロシア・アヴァンギャルド』で、取り上げられたアーティストで、印象に残ったのはピロスマニです。
私も放浪の画家になりかけていますが、ピロスマニは、正真正銘の放浪の画家です。

グルジアで、住居を持たずに放浪し、看板やや壁面、油絵の注文を受けて、描ける所が住みかとなりました。
『青春のロシア・アヴァンギャルド』展で、私が気に入ったのは、この写真の、『雌鹿』です。
これは、ほとんどバンビですね。この絵を観て分かる通り、動物の表現が秀逸であったことが分かります。
また、その絵は独学のためか、デッサンに狂いがあるようですが、そこにまた味わいがあります。
要は描く人の気合い、気迫の問題のような気がします。日本の美術教育が、デッサン力を付けることに主眼が置かれているのに、ピロスマニのような芸術家を排出出来ないのは、何か構造的欠陥があるのではないかと思ってしまいます。

その人生は、映画『ピロスマニ』で描かれたり、加藤登紀子さんが歌った『百万本のバラ』の歌のモデルになるなど、多くの人から愛されています。

青春のロシア・アヴァンギャルド

 渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで開催中の『青春のロシア・アヴァンギャルド』に行って来ました。この展覧会は、個人的に楽しみにしていた展覧会です。あまり知られていませんが、ロシアは革命前後の時代(1910年頃〜1934年)は前衛芸術の最先端を走っていました。1934年にスターリンによって粛正が実行されるまで約20年間、そんな時代が続きました。この時代のロシア・アヴァンギャルドが再評価されたのは、近年ロシアがBRICsとして経済発展を成し遂げてからです。それ以前は、一部の愛好家や美術評論家ぐらいしか認知されておらず、唯一シャガールだけがアメリカに亡命した事と、長生きしたおかげで知られているぐらいでした。マレーヴィチに至っては、ソビエト連邦の時代は封印され非公開にされていました。今回の展覧会は、モスクワ市近代美術館所属の、そんな時代の、最先端の作品を一同に集めて展示されています。     この展覧会で圧巻だったのは、マレーヴィチの作品群です。マレーヴィチだけでなく、ロシアの作家は、独特の感性を持っていて、どこか宇宙的、近未来来的で数十年後のソ連の宇宙開発を連想してしまいます。写真の展覧会のポスターになった作品も、マレーヴィチの『農婦、スーパーナチュラリズム』という作品です。農婦という労働者を題材にしている所が、ロシア人らしさを感じます。この作品の他にも、マレーヴィチは彼独自のシュプレマティスムという、十文字や無地のような無駄を省いた究極の抽象画が展示されてます。この、マレーヴィチのシュプレマティスム絵画の何とエネルギッシュなことでしょうか!
 『青春のロシア・アヴァンギャルド』は、8月17日まで、渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで開催中です。cb1196e3.jpg

Back in The USSR

“Back in The USSR”はビートルズの曲ですが、私のロシアの印象はこの曲で決定されたようなものです。USSRとは、若い方は分からないと思いますが、“Union of Soviet Socialist Republics”の略称です。いわゆるソビエト連邦のことです。この曲はビートルズが殆んど分裂状態であった1968年に録音されました。この曲では、曲を作ったポール・マッカトニーが、自分のパートであるベースだけでなくドラムまで叩いて録音した事が逸話として残っています。この頃、ドラマーのリンゴ・スターが一時ビートルズを脱退していたためです。注目すべきは、この曲は全体がパロディーで出来ていて、曲のタイトルはチャック・ベリーの“Back In The USA”をもじって、“Back in The USSR”で、曲調もチャック・ベリー風です。また、曲中のコーラスはビーチ・ボーイズのパロディになっています。ピアノとボーカルはポールお得意のリトル・リチャード風です。こういったアメリカンなロック文化をパロディーで融合して、ロックを聴く事を禁止されていた当時のソビエト連邦を痛烈に皮肉っています。1968年頃のソビエト連邦はスターリン批判を繰り返し、米国に歩み寄ったフルシチョフが追放され、長く暗いブレジネフ政権下の状態です。ロックなど聴いたらシベリア送りにされてしまいます。その間は人々は隠れてロックを聴いていたと言います。その後、ソビエト連邦が崩壊してロシアになりましたが、ロシアは一気に共産主義から市場主義に転換したため、インフレが起こり、人々の生活は苦しくなりました。そんな所で、今度はロシアの通貨危機(いわゆるルーブルショック)です。ロシアの通貨危機は、共産主義のソ連から自由主義経済のロシアに以降し、ロシア政府が金利年80%の短期国債を乱発していた事に端を発します。しかし、国債の利息を払うためだけに国債を発行するような状態に陥り、1998年8月17日、ロシアは借金返済の目処が立たなくなりました。そうしてロシアは債務不履行宣言を行ったのです。そのため、ルーブルは急落し、ロシア国民は、お金を外国へ持ち出したり、ルーブルをドルに代えようとしたりして、さらにルーブルは下落しました。そのため、ロシアは銀行に対して預金封鎖を行い、一般の人々が預金を引き出すことができなくなってしまったという事件です。恐ろしいですねぇ。ロックを聴くどころの話ではないです。しかし、2000年以降プーチンの時代になって石油・天然ガス事業で儲けて経済発展し、BRICsとの“R”の字を示すまでになっています。そしてやっと、2003年にモスクワ赤の広場で、元ビートルズのポール・マッカトニーが10万人もの群衆の前で“Back in The USSR”を演奏して大喝采を浴びました。その会場にはプーチン大統領の姿もみられます。それはもうロックを聴いてもシベリア送りにならない何よりの証です。実に35年にも及ぶ長い道のりですね。しかし、それから5年経ち、プーチンは大統領の3選禁止条項のため大統領を退任しますが、自分の手下とも言えるメドベージェフを大統領として推し、自身は首相となって権力を維持しようとしています。何かそうなったら、また振り出しに戻るような気がするのですが…。ビートルズのホワイトアルバムの再生ボタンを押すと、ジェット機の爆音と共に“Back in The USSR”が始まります。それを聴く度に私はそんな想いを巡らせます。3e401d7e.jpg
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