★絵描きの日記

加茂谷正俊のブログです。 絵画を中心に美術やっています。 公募展出展、グループ展や個展などもします。 2010年、2014年、2018年、2022年、富山国際現代美術展に参加。

三島由紀夫

イマドキな人

a43aa3fa.jpg

私の作品は、今風で『ポップ』であると言われます。
私のファッションは、『お洒落』だと言われます。
世間から見ると、私はイマドキな人に見えるのでしょう。
でも私は『ポップ』や『お洒落』からは最も縁遠い、保守的環境に身を置いています。
私のルーツは保守的で堅苦しい家庭環境と、三島由紀夫と安部公房の小説ですからね。
『お洒落』と『ポップ』と私は、遥か何万光年もはなれた存在のように感じられます。

絵描きを志す前は…

実は、絵描きを志す前は、小説家を志していました。
文芸作品を読むのが好きで、10歳までに宮沢賢治童話全集、全15巻を読破しました。
小説は11歳頃から読み始め、中学生の時には三島由紀夫、高校生の時には安部公房に入れ込んでました。
三島由紀夫の詩のように美しい文章に酔い、安倍公房のシュールな世界に夢中になっていました。
(偶然ですが、三島由紀夫も安部公房も、どちらも日本人受けが悪い小説家です!)
当然、国語の成績は抜群に良かったのですが、それは自分の好きなジャンルが試験出ていたからです。

20歳頃までは詩や小説を書いていましたが、恥ずかしいので大分前に捨てました。

それは、絵画に比べると出来が悪い悪いと判断したからです。
どうも私の書く文章より、絵画の方が人に強烈なインパクトを与えるようなのです。
ターニングポイントは、16歳の時にコンテンポラリーアートと出会い、制作を始めたことです。

でもこうやって毎日Blogの記事を書いていると、文芸好きで良かったと思います。

写真は、安部公房の『壁』です。
これは大傑作ですね。(芥川賞受賞作)
読むと、頭の中にシュールでサイケな光景が広がります。

_SL160_AA115_

散り去った朱

私は三島由紀夫の小説が好きです。その独自の美的感覚に14歳の私は打ちのめされました。それはまるで、思春期の熱病のように私を襲い、そして去って行きました。『これこそが芸術なんだ』、と人生において初めて芸術について考えさせられました。三島由紀夫の小説を色彩に例えるなら、『朱色』でしょう。それだけ、『和』な耽美的美しさを、その文章から感じます。特に好きな小説は、『仮面の告白』と『憂国』ですね。『仮面の告白』は、『永いあいだ、私は自分が生まれたときの光景を見たことがあると言い張っていた』という出だしの一行からもうノックアウトされました。そして、その出だしから、同姓愛という異質の愛について綴られていきます。また、『憂国』の艶かしい性的描写と散り去る美しさは、禁断の美に感じました。しかし、この『憂国』は紛れもない傑作であると思ったものの、強いナショナリズムを感じ、三島由紀夫という熱病から醒めるきっかけになってしまいました。『憂国』は二・二六事件の事件当事者となった青年将校の一人を描いた小説ですが、最後に将校と妻が自決していく様子が破滅の美学のように描かれています。→続くe5251b14.jpg
続きを読む
気まぐれギャラリー
『シャキーンとした猫』
2019年

ギャラリー用
Archives
  • ライブドアブログ