Live at The Fillmore East

リリースしてから、少々遅れましたが、The Whoの"Live at The Fillmore East"を聴いた感想について綴りました。
もちろん、現品はAmazonで予約して、当日に入手して聴きましたよ。
ファンとして、それは当然の行為です。

しかし、実はこの音源、かなり前に私は聴いていたのです。
もちろん、ブートッレッグですが…。

Live at The Fillmore East

上の写真は、そのブートレッグのジャケットです。
昔、私はThe Whoのブートレッグを買い漁っていたのですが、音質の悪さと、何よりもバンドに対しての申し訳なさで、ある時期で、購入することを止めました。

まぁ、前置きはそこまでにしておきましょう。
今回の"Live at The Fillmore East"は、当然ながらブートレッグと内容は一緒ですが、何よりも、その音質の高さに尽きます。
試しに聴き比べましたが、ブートレッグは聴くに耐えない音質でした。

今回のテープの修復、リミックスとリマスターは、デジタルの時代だからこそ、可能になったことだと思います。

The Whoの演奏は、1968年という時代を意識した工夫が、なされています。
1964年にバンドが登場した時代から、爆音演奏が自慢であったThe Whoです。
しかしながら、1968年にはクリームやジェフ・ベック・グループ、ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンスなど、ハードな演奏とインプロビゼーションを取り入れたハード・ロックの時代に突入して行きました。

それを意識してか、エディ・コクランのハードなカヴァーを、"Summertime Blues"、"My Way"、"C’mon Everybody"と3曲も取り入れています。
そして、彼らの代表作である "My Generation"は、インプロビゼーションを取り入れた長尺演奏になっています。

これは、私個人の憶測ですが、強烈なライバル達の出現で、この時代のThe Whoは神経を擦り減らしていたことでしょう。
ハードロックの時代になった1968年には、連日の爆音演奏に疲れ切ってしまったヤードバーズが、解散してしまったという実例もあります。

特にThe Whoとジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンスは、"トラック・レコード"という同じレーベルに所属していて、対バンを組まされることが多かったのです。

実際に、The Whoのギタリストでソングライターのピート・タウンゼントは、インタビューで『ジミ・ヘンドリクスみたいな天才と、共演させられるなんて勘弁して欲しかった』と語っています。

爆音ライブが自慢だったThe Whoが、より爆音な演奏をする後進のバンドに追い上げられる時代に、"Live at The Fillmore East"では、負けずに食らえ付いている状況を、ひしひしと感じました。

LIVE AT THE FILLMORE
WHO
POLYD
2018-04-27