10月18日に萬鉄五郎記念美術館で'60年代の前衛美術集団、『集団N39』のシンポジウムを聞きました。
『集団N39』とは、若き日の大宮政郎先生が在籍した、盛岡の前衛美術集団です。
『集団N39』の名称は、盛岡の北緯39度に因んで命名されたそうです。
活動期間は、1962年〜1969年と言うので、ちょうどビートルズの活動期間と重なりますね。

『集団N39』特徴は、盛岡という地方都市でありながらも、中央と何ら遜色のない、当時最先端の前衛的芸術作品を創り出していたことです。
それも、当時は中央のアーティストと行き来があったのではなく、純粋に盛岡のアーティストだけで自然発生したムーブメントだったのです。
その作風はロバート・ラウシェンバーグのようなネオ・ダダと重なるところがあります。

このシンポジウムでは、結成当初のメンバー、大宮政郎先生と柵山龍司氏を中心に進行して行きました。
シンポジウムの話を伺いますと、『集団N39』のメンバーは思春期に敗戦を経験し、'60年代の高度経済成長の真っ只中を疾走していたことが共通しています。
やはり思春期と敗戦というキーワードが重要であると、このシンポジウムを聞いて私は思いました。
ある日を境に、それまでの価値観が音を立てて崩れ去った経験が、これほどの恐いもの知らずのムーブメントを生んだのだと思います。
生まれる前から日本が経済大国であった世代とは、そこが根本的に違うと思います。

『集団N39』の活動のきっかけになった、『1人の詩人/8人の画家と/1人の芸術家/舞踏家による/盛岡4月8日の日曜日』のポスターです。
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そして萬鉄五郎記念美術館の前にある、この企画展のパネルです。DSCN1112







『集団N39展』
会場:萬鉄五郎記念美術館
   岩手県花巻市東和町土沢5-135
会期:12月23日まで(休館日:月曜日)
開場時間:午前8時30分〜午後5時まで(入館は4時30分まで)
入場料:館料:一般600円、高校学生400円、小中学生200円

写真は、大宮政郎先生の1962年の作品、『Cyborg-plan』です
Cyborg-plan