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最近、ビートルズなのに廃盤になっている、
“THE BEATLES AT THE HOOLLYWOOD BOWL”を中古レコード店で入手しました。
これはビートルズの1964年と1965年のハリウッド・ボウル公演をプロデュサーのジョージ・マーティンがリミックス、イコライジングして聴ける状態にし仕上げて1977年5月にリリースされたものです。

感想はいかがでしたとかと言うと…。
とにかく、『キャーッ!!』なのです。

ジョージ・マーティンのコメントは、とにかく観客の、『キャーッ!!』という声がジェット機並みの音量で、その音の渦の中からビートルズの演奏を掘り返すのが大変だったとのことです。
今時、ロックのライブで、『キャーッ!!』と叫ぶ人は居ないと思うのですが、‘60年代中頃のロックは、このノリが普通だったようです。
それは、当時のライブはPAがなくて、現在よりも音量が小さかったからです。
だから、『キャーッ!!』と叫べば、ステージ上のバンドのメンバーがその叫び声に反応することが可能だったからです。
PAが充実するようになったのは、'60年代末からで、その頃から『キャーッ!!』というノリは消えていきます。
PAで爆音が出るようになったので、いくら女の子が『キャーッ!!』という声を出しても、かき消されてしまいますからね。

モニターがないこの時代で、アンプの下のスピーカーキャビネットから出た音をじかに耳で聴いて演奏していましたが、この悲鳴の渦の中でビートルズは、ほとんど自分達の歌と演奏が聴こえてない状態だったとのことです。
何も聴こえてない割に、しっかりと演奏しているので、奇跡としか言いようがありません。
PAがない時代の、当時のビートルズは、VOX AC100という文字通り100ワットのアンプと、12インチのスピーカー4個が搭載されたスピーカーキャビネットだけでジェット機並みの音量の絶叫の渦と対峙していたようです。

このライブにおけるビートルズの演奏で特筆すべきことは、ポール・マッカートニーのベースですね。
ビートルズの演奏は、まだエフェクターがきちんと開発されいない時代のためか、カチャカチャ鳴っている印象がありますが、ポールのベースだけは現代の耳で聴いても良いベースプレイヤーだと感じました。
曲間のMCもほとんどポールで、ポールの仕切りによってライブは進められます。
やはりポールは生粋のミュージシャンなのです。

ビートルズの解散直前、ポールは他のメンバーから総スカシを食うのですが、他のメンバーはロッカーを目指していたのに、ポールだけはミュージシャンを目指していたところが原因だと思いす。
良い意味でも悪い意味でもですね。

このアルバムが廃盤になったのは、ビートルズの全音源がCD化された時です。
ビートルズの音源のCD化の作業は、やはりジョージ・マーティンが担当したのですが、このハリウッド・ボウルのライブだけは許せなかったのでしょう。
ほとんど、『キャーッ!!』という声で埋められていますからね。
これ、聴くとその気持ち分かります。

愛機Technics SL1200で再生しました。
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