ビートルズの登場以前のUKロックで、良いバンドを探すのは簡単なようで、なかなか難しいです。
私もチャレンジしましたが、英国で最初にロックを歌い始めたトミー・スティールは、ロックなシングルを数枚リリースした後、映画に出演し始め、むしろ役者として有名になってしまいます。
ジョニー・キッド&パイレーツも悪くはないのですが、個人的にジョニー・キッドのボーカルが好みではありません。
ヴィンス・テイラーも悪くないのですが、ジーン・ヴィンセントの二番煎じに感じなくもないような…。
そんな私でも、『おっ!』と感じのがクリフ・リチャード&シャドウズです。
何よりも、ボーカリストのクリフ・リチャードとインスト・バンドのシャドウズの一体感を感じさせられます。
もはや、歌手とそのバック・バンド以上を超越して、クリフ・リチャード&シャドウズというバンドと言っても過言ではありません。
そして、シャドウズのブルース・ウェルチも早い段階から、クリフ・リチャードのオリジナルのソングライティングにも関わっています。
クリフ・リチャードの甘いボーカルと、コオロギの鳴き声のようなシャドウズのギター・サウンドは、1958年という早い年代からUKロックの特徴を既に築き上げていたように感じます。
当時のクリフ・リチャードの動画をYouTubeで観ますと、その堂々とした歌いっぷりに、オーラを感じさせられますし、大スターになった理由も納得が行きます。
しかしながら、甘いボーカルと、コオロギの鳴き声のようなギター・サウンドは、長所であった一方、欠点でもあることも否めません。
コアなロック・ファンからすると、ちょっと甘ったるい感じもしますが、それは好みの問題ですからね…。
彼らが登場してから数年後にビートルズが登場しますが、ボーカルもバンドのサウンドも、よりも激しい方向に向いました。
しかし、10代のポール・マッカートニーがシャドウズがテレビに出ると、リード・ギタリストのハンク・マーヴィンの手元を見て研究したことをインタビューで語っていますので、全く影響がなかったとは言えないようです。