あの頃、マリー・ローランサン

以前、木村カエラさんの項で『加藤和彦さんについては後で述べます』と書きましたが、その人物紹介を通り越してアルバム紹介です。

なぜなら、昨日の日曜日の午後、久しぶりにこのアルバムを聴いて、うっとりしてしまったからです。このアルバムは、ちょうど日曜日の午後に紅茶を飲みながら、ファッション雑誌を眺めるというシチュエーションにぴったりで、私もそうやって聴きました。

最初に聴いた時は『腐ったJ-POP』といった感想で(1983年作品)、1枚全部聴くのも辛く、ずっと棚の中に放ってあったものです。
でも、久しぶりに聴いてみると、何となくセルジュ・ゲンズブールやクレモンティーヌのようなフレンチポップみたいな感触を感じました。
聴いててアドレナリンが分泌される類いの音楽ではなく、脳にα波が出現してリラックスするような音楽です。

そういえば、加藤和彦さんのボーカルを『軟弱』と批判されることが多いですが、このアルバムでは見事癒し系の歌声で、アルバムの雰囲気にピッタリはまっています。参加ミュージシャンはドラムが高橋幸宏さん、ギターに高中正義さんというサディスティック・ミカ・バンド人脈でしっかり作られいます。

また、特筆すべきことは安井かずみさんの詩的な歌詞が挙げられます。
あの頃、マリー・ローランサン/女優志願/ニューヨークコンフィデンシャル…、などと曲名を列記するだけでも詩的です。
全体的に“キャフェ”、“イタリア・レストラン”といったオシャレな単語が散りばめられています。

これらの言葉を見て分かる通り、どちらかというと、女性向けで、汗臭い野郎達には似合わない一枚です。
当然、私にも似合いません。

この記事は投稿当時の原文を損なわない程度に、2023年5月4日に編集致しました。

あの頃、マリー・ローランサン
Sony Music Direct(Japan)Inc.
2017-04-05