
The Stooges(ストゥージズ)のセカンドアルバムです。
収録曲で、“t.v.eye”“1970”の2曲は有名な曲です。
“t.v.eye”は後にボーカルのイギー・ポップがソロになってからのライブアルバムのタイトルになっています。
また、“1970”はパンクの時代にダムドが“I Feel Alright”という題名でカバーしています。
“1970”という曲がある事でお分かりの通り、1970年のアルバムです。
この頃のストゥージズはドラッグが蔓延し、メンバー間の喧嘩が絶えず、ついにはレコード会社から解雇通告を受けることになります。
このアルバムも混沌とした内容で、彼らの混乱ぶりが伺われます。
この頃の彼らのライブは、割れたガラスの破片の上をイギーが、のたうち回るというカオスなもので、まさに『自滅の美学』を体現さたバンドと言えます。
このアルバムをリリース後にストゥージズはレコード会社を解雇されます。
そんな混沌とした中でも、イギーの詩人としての才能が光っていると思います。
“1970”で“you'er hurting my heart”(あなたは私の心を傷つける)といった狂おしいフレーズが、繰り返し出現しています。
そんな狂おしい感じが、当時のストゥージズの状況がよく分かる感じがします。
ストゥージズのアルバムは、粗野なサウンドと共に、知的な香りがします。
それは、イギー・ポップが高校教師の父を持ち、自身も大学にきちんと通っていたという『高等教育を受けた』人間であるという事実が大きいと言えます。
ストゥージズのギタリスト、ロン・アシュトンの証言では、イギーは大学時代は討論部に入っていたとの事です。
ドラッグにまみれ、ステージでは血まみれになっているパブリック・イメージとは真逆のイメージです。
実際、破壊的な曲をレコーディングしても、その詩的な歌詞など、彼のそのインテリジェンスを隠しきれないようです。
でも、イギー自身はインタビューでも、乱暴な言葉を使ったりして、知性を隠そうとしているかのようです。
ロン・アシュトンによると、イギーは普段は静かな人であると証言しています。そんなイギーの本質を見抜いたデビッド・ボウイがストゥージズ解散後に“The Idiot”、“Lust For Life”という知的な2枚のアルバムを作らせたのは頷ける事です。
※この記事は2017年5月5日に、投稿当時の文面を損なわない程度に編集いたしました。