The Idiot

イギー強化週間の最後は“The Idiot”です。
“The Idiot”はドラッグ中毒のため入院したイギーに、デビッド・ボウイが手を差し伸べて復活させたアルバムです。
“Low Power”の時もボウイが手を差し伸べましたが、その時に比べてイギーの状況が深刻なようで、ジャケット写真の顔も病み上がりのような印象を受けます。

もう、ストゥージズも自然消滅しており、頼るものはボウイだけです。
そのため、アルバム全体がボウイ色が強いです。
イギーのボーカルもボウイを意識していて、時にボウイの声色を真似ているのではないかと思う程です。
それまでストゥージズで、『ギャーっ!』とシャウトしていた世界とは真逆の世界です。

アルバム全体に知的で、アートな雰囲気が漂い、イギーのアーティストとしての側面が強調されています。
このアルバムで一番有名な曲が、“China Girl”です。チャイナガールは、後にデビッド・ボウイがカバーしヒットさせています。
このアルバムで一番ポップな曲です。

“Fun time”はどこかルー・リードを思わせるボーカルと曲調です。イギーはFunという言葉が好きなようで、過去に“No Fun”、“Fun Hause”という歌も作っています。
“Fun time”は、このアルバムで最もロックしていて、好きです。

“Nightclubbing”は夜になったら、クラブに行って時代の最先端を楽しもうという歌詞の曲で、ボウイのキャラでは絶対に作れない曲です。

知的な香りがするこのアルバムは、イギーの芸術家としての本領発揮です。
そう、ここにはストゥージズのイギーではなく、高校教師の家庭で育ち、大学で教育を受けたプロフィールが最大限に生かされています。

※この記事は2016年9月25日に、投稿当時の文章を損なわない程度に修正致しました。

イディオット(紙ジャケット仕様)
イギー・ポップ
ユニバーサル ミュージック
2014-10-29