Syd Barrett

【シドバレットの精神症状】
1.LSD-25への精神依存とその乱用
2.幻聴、幻視
3.空笑
4.思考途絶
5.25歳以降の精神的荒廃状態(無為、感情鈍麻)
6.晩年の肥満と糖尿病
【LSD-25】
 リゼルギン酸ジエチルアミドの略称。ライ麦に寄生する麦角菌アルカロイドから合成される。脳幹の縫線核において、セロトニン5HT2受容体を遮断して、セロトニン5HT2による神経活動を抑制する事により、交換神経系を活性化させる。しかし、幻覚の発現については、この作用機序では説明は困難である。少量で作用し、身体依存は生じないが、精神依存は生じる。服用により、多彩な精神症状が発現するが、中でも幻視が著しく、周囲が明るくはなやかな色彩に変化し、ものが歪んで見えたりする。また、閉眼時に幻想的な情景幻視も出現する。
【考察】
 シド・バレットの精神症状で注目すべき所は、LSD-25の後遺症としては精神的荒廃状態が目立つ所である。そのため、統合失調症の可能性が高いと考えられる。しかし、行動の異常がLSD-25によるものか、統合失調症の症状によるものか鑑別は困難てある。LSD-25によって、幻覚妄想状態を呈する事は既知である。しかし、シド・バレットは度重なるLSD-25の使用によって統合失調症発病に対し、脆弱になり発病した事は考え得ることである。単純に化学物質中毒による精神障害と考察することも可能性は否定は出来ない事も確かである。また、晩年は比較的症状が安定し、外出や買い物している姿を発見されたのは、抗精神病薬による治療が行われたからであろう。肥満し、糖尿病の合併症で他界したのは、クロザピン、オランザピンなどの非定型抗精神病薬による投薬治療が行われたのは想像に難くない。

※上の写真はDVD、"ピンク・フロイド ロンドン 1966-1967" の映像を撮影して掲載致しました。
ピンク・フロイド ロンドン 1966-1967 [DVD]
ピンク・フロイド
トランスフォーマー
2006-11-25