『パーティーの前日に…』は、私の作品の中でも人気のある作品ですが、数奇な運命を辿った作品です。
昨年の春に完成し、春の公募展に出展し、受賞もしました。
東京で展示され、7月には、ソウルのロッテギャラリーにも巡回しました。
ソウルの展示は、7月末まででしたが、いつまで経っても巡回から戻って来ません。
8月中旬、サマーソニックの爆音の中で、携帯電話に見知らぬ番号から着信がありました。
とりあえず、多少は電話が出来そうな所に移動して、電話を取ると、
『私〇〇という画集を扱っている者ですが、“先生のパーティーの前日に…”が選ばれまして、画集に是非とも載せたいのですが…』という電話です。
私は、この手の高額な掲載料を要求する詐欺が、横行していることを知っていましたから、こう言いました。
『どうせ、掲載料高いんでしょ!!』
すると、向こうは動揺して、
『あ…、はい…、ええっと、30万円です』
と力なく答えました。
『辞退させて頂きます!理由は掲載料が高いから!!』と言ってガチャンと切りました。
せっかく、サマーソニックを楽しんでいたのに、迷惑な話だと思っていました。
しかし、サマーソニックが終わって、8月末になっても、作品は戻って来ません。
そして、とうとう9月に入ってしまったので、怪訝に思いました。
主催者に電話をかけたら、もう搬入業者に渡ってあるとのことです。
そして、搬入業者に電話をかけたら、『えっ!戻って来てませんか?すぐ調べます』と慌ててました。
30分後、搬入業者から電話がかかり、私のが梱包と発送をお願いした、地元の業者に届いているとの報告を受けました。 慌てて、その業者に行くと、作品がありました。
しかし、作品の梱包を解くと絵が額から外され、額の部品も紛失した状態だったのです。
そして、絵に小さな傷も付いてました。
私も画歴が長いですが、このようなことは初めてです。
いつもないことが起こったということは、犯人は画集詐欺の人達だと推測されます。
額から外して、すぐに撮影できる状態にしてあったのに、私が断ったのでそのままになったのでしょう。
今回、教室展では、額もきちんと直して展示しました。
絵の傷は小さいので、時間がある時、修復していこうと思います。

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