A Quick One

23日はThe Whoの曲を聴いて過ごしました。
私はThe Whoのマニアなので、決して珍しい事ではありませんが…。
The Whoと言えば、天才ピート・タウンゼントのソングライティングと、キース・ムーンのドラム、ジョン・エントウィッスルのベースの2人の名プレーヤーがサウンドの要になっています。

その中で、ボーカルのロジャー・ダルトリーは地味な存在であると言われてきました。
そして、歌もあまり上手くないボーカリストと酷評する方も一部には居られます。
私は、ロジャー・ダルトリーについて、決してそう思っていません。
ボーカリストの歌の良さを確認するには、カヴァー曲を聴けば分かると思います。

こちらは、本家本元のMartha & the Vandellas の“Heatwave”です。



そして、こちらがThe Whoの“Heatwave”のカヴァーです。



聴き比べて頂ければ、ロジャーのボーカルも、別に悪くないと思うことでしょう。
確かに、部分的にキース・ムーンのドラムの音にかき消されたりしていますが、ロジャーは正確に丁寧に歌っていることが分かると思います。
Martha & the Vandellas はマーサ・リーヴスのメインボーカルと、コーラス2人が結構ハモっていますが、The Whoはコーラスは最低限で、ロジャーが孤軍奮闘で歌っています。
マーサ・リーヴスのボーカルはパンチが効いた女性ボーカルで、ロジャーは中性的な歌声で歌っています。
ロジャーが中性的な歌声で歌っているのは、原曲が洗練された女性ボーカルの曲であることを意識していて、その持ち味を損なうことがないような配慮でしょう。
ロジャーのパンチやドスを効かせたボーカルを何度も聴いている私は、そう感じます。

興味深いのは、The Whoのアレンジです。
ロック風にテンポを早くして、原曲のエレピやサックスの部分をピート・タウンゼントがギターで弾いて再現していることが分かると思います。
初期のThe Whoは、“Heatwave”のようなモータウンの曲のカヴァーがみられますが、それらのカヴァーは大好きです。
モータウンの洗練された曲調は、当時彼らが着ていたモッズ・ファッションの洒落たイメージにぴったり合います。
動画でも、彼らがモッズ・ファッションでビシッと決めているのが分かると思います。
上の写真は“Heatwave”が収録されているアルバム、“A Quick One”です。

A Quick One
Who
Polygram UK
2003-04-14