Imperial Bedroom

最近は、コステロ研究に一生懸命な私です。
なぜ、コステロ研究に勤しんでいるかと言いますと、『パンク・ロックの時代に輩出した良いソングライター』というスタンスで考えると、コステロとポール・ウェラーになると考えているからです。
パンク好きな私としては、この2人の音楽性を知ることが重要だと、今は考えています。
既にポール・ウェラーに関しては大ファンなので、全キャリアの全ての音源を揃えているので良いのですが、コステロに関しては、まだ未知の部分があるので、研究しているという訳です。
コステロは多作な方なので、その音源は膨大で、私も苦戦してる状況です。

そんなコステロは、ビートルズを意識したアルバムを2枚制作していますが、それが“Imperial Bedroom”(1982)と“Spike”(1989)です。
上の写真の“Imperial Bedroom”は、ビートルズやポール・マッカートニー、ウイングスのレコーディングなどでエンジニアを担当したジェフ・エメリックをプロデューサーに迎えた作品です。

一方、“Spike”はビートルズ張本人であるポール・マッカートニーと共同でソングライティングしたり、ベースの演奏でレコーディングに参加してもらっています。
これが、その“Spike”です。



その2枚のどちらが好きかと言われますと、私は“Imperial Bedroom”の方が好きと答えます。
ちなみに“Imperial Bedroom”はコステロとアトラクションズの名義で、“Spike”はコステロのソロの名義です。

やはり私が聴く限りでは、コステロはアトラクションズとレコーディングしたりライブをしたりしないと、精彩を欠くように感じています。
アトラクションズは、単なるコステロのバック・バンド以上の存在であると、私は考えています。

アトラクションズはコステロも含め下記のメンバーです。
エルビス・コステロ;ギター、ボーカル
スティーヴ・ナイーヴ;キーボード
ブルース・トーマス;ベース
ピート・トーマス ;ドラム

“Imperial Bedroom”ですが、アトラクションズの演奏も初期の荒削りなイメージから、大分こなれて来た印象です。
ジェフ・エメリックがプロデュースしたためか、凝ったサウンド・メイキングで、アトラクションズ版の“サージェント・ペパーズ”という趣きがあります。
そして、ジェフ・エメリックの他のもう1人のキーパーソンとして、キーボードのスティーヴ・ナイーヴが挙げられます。
スティーヴ・ナイーヴは、英国王立音楽大学のクラッシック専攻科を卒業したという経歴を生かして、ブラスやストリングス、オーケストラを用いた曲のスコアを書いています。
ビートルズは、オーケストラのスコアに関してはプロデューサーのジョージ・マーティン任せでしたが、アトラクションズはバンド自前で出来てしまう所が素晴しいです。
そういった所が、アトラクションズが単なるコステロのバック・バンド以上の存在をなしているゆえんです。

初期の直球パンクなアトラクションズの演奏とは違って、聴き込むほどに味わいが出て来るのが“Imperial Bedroom”です。
ブラスやストリングス、オーケストラなどが入り、エレガントなサウンド・メイキングのように聴こえますが、その音楽性を一言で言い表すと『ひねくれポップ』でしょうかね。
どこが『ひねくれて』いるのかは、聴けば分かります。
エレガントなサウンド・メイキングでも、アトラクションズのパンク風の“グシャっとした”感覚の演奏が伝わるからです。

Imperial Bedroom
Elvis Costello
Rhino / Wea
2002-11-19