Cat

外食が多い私。
そんな私が、嘆いていているのは、近頃は凝った店やオシャレな店ばかりが増えて、いわゆる『食堂』が、どんどんなくなって来ていることです。
街を歩くと、オシャレなイタリアンや、今風な佇まいの和食店や、チェーン店ばかりです。

ラーメン屋さんも、独創性が先行した、お店ばかりです。
凝ったスープのラーメンも嫌いじゃないですが、ちょと飽きて来ました。
昭和の頃に食べられていた古典的な、ニボシでダシを取った醤油味のラーメンは、どこのラーメン屋さんに行っても、見かけなくなりました。

そう言えば、昔の刑事ドラマの取調室に出ていたようなカツ丼は、しばらく食べてないような気がしました。
独創的だったり、凝った平成なカツ丼は食べてはいましたが…。

口コミで、今でも昭和なカツ丼を食べられる『食堂』を教えてもらい、行ってみました。
行ってみると、建物は年季が入った木造の店でした。
店の前には、昭和な食堂には付きものである食品サンプルが入ったガラスケースがありました。
しかも太陽光で劣化し、あまり実物に似てない状態になっていました。

あまりに古過ぎて、どことなく、入りずらい店構えです。
でも、意を決して店に入ることにしました。
今では珍しい木製の窓枠の引き戸です。
引き戸を開けようとしたら、自動でガラガラっと開きました。
びっくりしましたら、古めかしい引き戸に『自動』の文字が…。
最新式なのか、古いのか分からない引き戸です。

中を入ってみて内装も、本当に古い和風な木造感たっぷりの店でした。
椅子もテーブルも木製です。
オシャレな今風の木製の椅子やテーブルではなく、リアルに古びた木製の物です。
壁に貼られた、『冷風麺はじめました』という手書きの張り紙が味を出しています。
店内は、液晶テレビがある以外は完全に昭和で止まったままでした。
私は窓際の席に座りましたが、古い木造の建物のためか、車が通る度にドドっと揺れました。

お客さんは、男性1人とか、家族連れとか、おじいさん、おばあさんとかです。
若い女性は全く居ません。
むしろ、若い女性が居たら、違和感を感じる空間です。

口コミ通り、カツ丼を注文しました。
頼んだら出てきました、カツ丼とみそ汁とお新香の三点が…。
もちろん、カツ丼は白くて絵柄入った、どんぶりで出て来ました。
カツ丼の上には、ご丁寧にもグリーンピースが3個載っていました。
そうそう、昭和なカツ丼には必ずグリーンピースが載っていたものです。
でも、なぜ昭和なカツ丼にグリーンピースが載っているのか、今もって謎です。

食べてみましたら、ダシが染み込んだカツは美味しかったです。
平成な味に慣れた者としては、全体的に凝ってなくて、シンプルな味わいに感じました。
みそ汁は家庭料理みたいで、誰かのお宅で、お食事を頂いたかのような味でした。
お値段は840円でした。
あまりに昭和な佇まいだったので、値段も昭和な感じかと思っていましたら、しっかり現代的でした。

とりあえず、今回はカツ丼を食べてみましたが、私が以前から食べたかった、昔ながらの醤油ラーメンもあるようです。
機会があれば、また行ってみたいと思います。