Lola versus Powerman and the Moneygoround, Part One

最近は、キンクスにぞっこんな私。
おそらくキンクスは、UKロックが大好きな人は、涙が出るほど好まれますが、UKロックが嫌いな方には耐えられない音楽でしょう。
まさに、イギリスという島国根性丸出しの音楽がキンクスというバンドの魅力でしょう。

私は、英国の田舎を描いた"Village Green Preservation Society"('68)、大英帝国の繁栄と没落を描いた"Arthur (Or the Decline and Fall of the British Empire)"('69)、そして上の写真の"Lola Versus Powerman and the Moneygoround, Part One"('70)の連続した3枚は名盤だと思っています。

"Lola versus Powerman and the Moneygoround, Part One"の邦題は、"ローラ対パワーマン、マネーゴーラウンド組第一回戦"と、そのまんま直訳となっています。
ロック・スターが成功するものの、マネージャーとのトラブルに巻き込まれてしまうという内容を歌っています。
"マネーゴーラウンド"とはマネージャーとの契約内容を指し、"パワーマン"とは強欲なマネージャーのことを指します。
ロックのアルバムで、ロックのビジネスについて歌うという、非常にデリケートな問題を歌っていますが、それを本当に歌うとは度胸があると思います。

一番の聴きどころは、シングル"Lola"でしょう。
英語を知らなくても、"ローラ、ロ・ロ・ロ・ロ・ローラ♪ "と口ずさめてしまうキャッチーな曲です。
アルバムのセールスはイマイチでしたが、シングルの"Lola"は全英2位となったのは納得出来ます。

モッズに好まれる'60年代のバンドはキンクスとThe Whoとスモール・フェイセスですが、"ローラ対パワーマン、マネーゴーラウンド組第一回戦"がリリースされた1970年には状況が一変してしまいます。

キンクスは、これまで述べたように英国の内向きな作風に流れます。
The Whoはロック・オペラとハード・ロック調の演奏でアメリカでブレイクし、巨大なセールスを記録する大スターになってしまいます。
そして、スモール・フェイセスはフロントマンがバンドから離れて、バンドそのものが分裂してしまいます。

バンドの命運は3者3様ですが、1970年に入ってロックが転換期に入ったことは確かだと思います。