Me and My Shadows

私は、バリバリなUKロックのマニアです。
しかしながら、編集盤やベスト盤以外のオリジナルのアルバムの中でも、今回紹介する
Cliff Richard and the Shadows (クリフ・リチャード&シャドウズ) の
"Me and My Shadows"は、最も古いUKギター・ロック・アルバムとなると思います。
リリースされた年は1960年で、ビートルズのファースト・アルバムの3年前に遡ります。

実は、"Me and My Shadows"はクリフ・リチャードのセカンド・アルバムとなります。
ファースト・アルバムである"Cliff Sings"は、シャドウズとノリー・パラマー・オーケストラの演奏が半々で、全編シャドウズによるギター・ロック・アルバムは"Me and My Shadows"が、最初となります。
そういった意味で、UKギター・ロックの原点となるアルバムであると思います。

"Me and My Shadows"というタイトルとジャケット写真は、まさにクリフ・リチャードとシャドウズの決意表明のように感じられます。
収録曲もシャドウズのブルース・ウェルチ、ハンク・マーヴィン、ジェット・ハリスのオリジナル曲が16曲中の6曲が収録されています。
そういった意味でも、"Me and My Shadows"は、『自分達でやるよ』という決意表明が伺えます。

それ以後、彼らは、"Me and My Shadows"も含めて計3枚の、Cliff Richard and the Shadowsでレコーディングしたアルバムをリリースして行きます。
これらのアルバムは、ビートルズが登場するまでは、画期的なアルバムだったのでしょう。

全体的な印象は、『青春のアルバム』といった趣きです。
不良なロックと言うより、"品行方正な青年達がレコーディングした、爽やかなロック・アルバム"となるでしょう。
でも、このアルバムがUKギター・ロックの原点となることは間違いない真実なのですから…。
曲によっては、スキッフル調なノリの曲もあることからも、その事実を伺えます。

結果的に、"品行方正な青年達がレコーディングした、爽やかなロック・アルバム"となったのは、当時アイドル的な人気があったクリフ・リチャードと、眼鏡をかけたシャドウズのリード・ギタリストのハンク・マーヴィンがレコーディングしたら、こうなるのかなという気はします。
また、保守的なプロデューサーであったノリー・パラマーの考えもあるでしょう。

個人的には、批判を恐れずに言うならば、アルバムを聴いて、何となくザ・スミスも連想させられました。
もちろん、その精神性は全然別物ですけどね。

Me & My Shadows
Cliff Richard
Hallmark UK
2011-02-14