ポール・ウェラーの全キャリアの中でも、スタイル・カウンシルの時代はクールなイメージで、汗臭いイメージは皆無です。
しかしながら、スタイル・カウンシルのライブ盤"Home and Abroad" では、ポール・ウェラーは、ボーカルで、がなりまくり、グシャグシャなギターを弾いています。
一聴すると、スタイル・カウンシルのアルバムの中でも、"Home and Abroad" だけはザ・ジャムみたいに感じてしまいます。
考えてみますと、このライブの3年前までは、ポール・ウェラーはザ・ジャムとしてライブ活動をしていた訳で、『人って、やっぱり根っこは変わらないんだ』と思ってしまいます。
ライブの中心メンバーは、ポール・ウェラーと、キーボードのミック・タルボットのコンビ。
そして、ドラムのスティーヴ・ホワイト、女性コーラスのD.C.リーです。
他にホーン・セクションやベース、パーカッションなど大所帯です。
大所帯バンドの割には、どことなく演奏がショボく、ザ・ジャムのような勢いとノリでライブをしているように感じます。
特筆すべきは、ドラムのスティーヴ・ホワイトで、スタジオ盤より叩きまくっている所です。
スティーヴ・ホワイトは、スタイル・カウンシル解散後も、ポール・ウェラーのソロ・ワークでもドラムを叩いているので、"Home and Abroad"は、後のポール・ウェラーのソロ・ワークの原型のようにも聴こえて来ます。
結果的に、スタイル・カウンシルは、ザ・ジャムとポール・ウェラーのソロ・ワークの橋渡し役であったことを実感させられます。
因みに、コーラスのD.C.リーは現在、ポール・ウェラーの前妻となっており、娘さんがD.C.リーと瓜二つのルックスでモデル活動をしています。