The Singular Adventures of The Style Council

UKロック・マニアの私。
でも、私の周囲では、UKロックは全然分からないという声が多いです。

そこで、ロック・マニアでなくても、老若男女楽しめる曲を紹介しようかと思っています。
今回は'80年代の10年間の中で、1曲を選びましたが、やはり選曲に難渋しました。
10年で1曲ですからね。

'80年代のUKロックは、新しい楽器であるシンセサイザーやシーケンサーに頼ったサウンド・メイキングをしたり、妙にリヴァーヴをかけてレコーディングしたりと、本来のロックの攻撃的な刃を削がれた時代でした。

その一方で、インディ・ロックが出現し、エッジが効いたギター・サウンド主体のロックも存在していました。

そんなメインストリームなロックと、インディ・ロックと2極化した'80年代ですが、紹介したいのはスタイル・カウンシルの"A Solid Bond in Your Heart"です。


聴いてみますと、そんな当時の2極化したロック・シーンとは無縁の普遍的なソウル・ミュージックを演奏しています。

ピアノ、とサックス、ストリングスの軽快な演奏が、もはや時代を超越して、楽しく踊れる曲を演奏しています。
ソウル・ミュージックと言いますか、モータウン・サウンドへのオマージュのようにも聴こえます。

スタイル・カウンシルのポール・ウェラーは、ザ・ジャムというバンドで、'70年代末、パンク・ロックの荒波から出て来て、ガシャガシャしたノイジーなロックを演奏していました。
しかし、モータウン・サウンドの造詣と卓越したソングラティングで、他のバンドとは一線を画していました。

'80年代にスタイル・カウンシルで活動を始めた時は、もはやメインストリームなロックと、インディ・ロックの区分など、どうでも良い境地を見出していたのでしょう。

"A Solid Bond in Your Heart"は、ポール・ウェラーが目指した音楽への完成型のように思えます。
現在、ポール・ウェラーは衰えることなく活動し続け、UKロックの重鎮となっています。

シンギュラー・アドヴェンチャー
ザ・スタイル・カウンシル
ポリドール
1998-05-27