通常、ロック・ミュージシャンは、『ボーカリスト、ソングライター、ギタリスト』など、様々な肩書きが付くことが多いです。
しかし、ロジャー・ダルトリーの場合は、『ロック・ボーカリスト』とだけ肩書きが付くと思います。
まぁ、一応俳優業もやっていますが…。
ロジャー・ダルトリーは、ロック全盛時代を生きて来た世代にしては珍しく、ソングライティングもせず、楽器をプレイする訳ではなく、The Whoのボーカリストとして専念していました。
たまに、それを揶揄されることもありましたが、近年はロック・レジェンドとして尊敬を受ける存在になっていると思います。
ロジャー・ダルトリーのボーカルは、地声のままでシャウトするというスタイルです。
ロジャーが喋っている時の声と、歌声は驚くほど同じです。
The Whoの最初期の時代は、モータウンやソウル・ミュージックの曲を数多くカヴァーしていました。
当時のロジャーは、ジェームス・ブラウン風のボーカルを意識していました。
しかしThe Whoは、カヴァーよりも、ソングライターのピート・タウンゼントが書いた、繊細で哲学的でストーリー性がある曲がセットリストの中心になり、ボーカル・スタイルを変更しなければなりませんでした。
ウッドストックで披露された"See Me Feel Me"は、ロジャーの名唱となり、一躍世界的なスターになりました。
The Whoだけでなく、ロジャーの名声も、一気に高まりました。
その後、ロジャーは加齢と共にキーは下がりましたが、2010年代後半に入り、何か悟りを開いたかのように、ファンキーな歌い回しをするようになりました。
言わば、The Whoの最初期のようなボーカルに戻ったようになりました。
そして、今回のロジャー・ダルトリーのソロ・アルバムの"As Long as I Have You"です。
カヴァー曲中心のアルバムで、タイトル曲の"As Long as I Have You"は、The Whoの初期のセットリストとして歌われていたいたとのことです。
しかし、若き日のジェームス・ブラウンを模したボーカルよりも、歌声に人生経験が加わった分、説得力が増しているように感じられます。
ボーカリストとして特化したロック・ミュージシャンであるロジャー・ダルトリーですが、歌に集中する分、現在のキャリアにプラスになっているように思うのは、私だけでしょうか?