Who's

ロジャー・ダルトリーの"Who's "Tommy" Orchestral" を聴き込みました。
これは、 簡潔に説明しますと、ロジャーのバンドがオーケストラと共演したアルバムです。
その曲目は、The Whoのロック・オペラの名作"トミー(Tommy)"です。

オーケストレーションはアレンジャー/作曲家のデヴィッド・キャンベル(David Campbell)が担当し、指揮とアルバムのプロデューサーとして、キース・レヴェンソン(Keith Levenson)が担当しています。
キース・レヴェンソンは過去に、"トミー"のミュージカル版を担当したロジャーとは旧知の間柄です。

また、ロジャーのバンドにThe Whoのソングライター/ギタリストであるピート・タウンゼントの弟、サイモン・タウンゼントが居ることもポイントとなっています。

レコーディングは複雑で、2018年の米ニューヨーク州べセルでのライブ音源の中から、オーケストラの部分だけ抜き取り、ブタペストでオーケストラの部分を再録しています。

さて、前置きが長くなりましたが、"Who's "Tommy" Orchestral"の感想ですが、バンドとオーケストラの音のバランスが、バンド中心で意外とロックな感じがします。
The Whoは、2017年のロイヤル・アルバート・ホールで"トミー"を再演していますが、ロジャーのボーカルは、その時に比して『歌』に専念していると思います。

まぁ、The Whoのライブは、いきなりピートがアドリブを入れたり、ロジャーも負けじとアドリブを入れたりするような戦場のようなライブですから、仕方ありません。
やはり、"Who's "Tommy" Orchestral"はロジャーのアルバムなので、ロジャーのボーカルに焦点が当たって当然なのです。

また、ピートの弟のサイモンが、ピートのパートを歌うことで、ぐっと雰囲気がThe Whoぽくなります。
本当に、こんなに声似た兄弟は居ないと思う位です。

一応、1970年の"Live At Leeds"の"トミー"とも聴き比べましたが、若き日のロジャーは、まるで三重苦の少年が憑依したように聴こえます。
現在のロジャーの歌声は、憑依したというよりも、三重苦の少年という寓話の『語り部』のように聴こえて来ます。
これは、あくまで私の個人的な感想ですが…。

ザ・フー『トミー』オーケストラル
ロジャー・ダルトリー
ユニバーサル ミュージック
2019-06-14