2010年代後半に入り、ロックは売れなくなったとか、手厳しい表現では『終わった』と言われています。
しかしながら、ロックの定義は難しいです。
そのルーツはブラック・ミュージックに由来しますので、別にギター、ベース、ドラムで構成されるバンドの音楽だとは定義されていないのです。
なので、現代のEDMやヒップホップも、広義の意味でロックなのかも知れません。
しかし、いわるゆるギター、ベース、ドラムで構成されている、狭義の意味のロック・バンドが現代において、苦境に立たされているのは現代では明白です。
一方で、過去のヒットチャートを調べてみますと、ロックは決してメジャーな音楽ジャンルではないという印象です。
いわゆる、狭義のロックが社会的影響においてピークに達したと言われるのは、50年前の1969年です。
しかしながら、1969年のビルボード・シングル年間チャートの1位はThe Archiesの"Sugar, Sugar"という曲です。
The Archiesとは、米国のテレビ番組で企画された架空のバンドです。
ここら辺は、大衆の悲しさを感じます。
狭義の意味でのロック・バンドでは、年間チャート3位以内には入れず、4位にローリング・ストーンズの"Honky Tonk Women"がランクインします。
意外なのは、ビートルズの"Get Back"が、25位だったことです。
同年のUK年間チャートも、確認致しました。
ビルボードは米国らしくソウル・ミュージックが多いのですが、UKチャートの方が狭義の意味のロック・バンドが、チャートに多くランクインしています。
1位はサンダークラップ・ニューマンの"Something In The Air"です。
サンダークラップ・ニューマンとは、The Whoのピート・タウンゼントがプロデュースしたロックバンドです。
でも、The Whoの曲が年間30位にも入っていないことが、不思議な現象です。
同年の日本のオリコンチャートの年間1位は、日本人なら誰でも知っている由紀さおりさんの『夜明けのスキャット』です。
確かに、歌詞を知らなくても鼻歌で歌える名曲ではあります。
いわゆる、狭義の意味でのロック・バンドの曲は、ザ・タイガースのギタリスト、森本太郎さんがソングライティングした『青い鳥』が年間26位に、やっと入っている程度です。
『青い鳥』は1968年の曲ですが、12月にリリースされたので、1969年の年間チャートにランクインしたと思われます。
世界的にロックの影響力がピークに達したと言われる1969年でさえ、このような状況です。
ロックは大衆に受け入れられるには、ちょっとラウドな音楽なのかも知れません。