爆音ライブで有名なThe Whoですが、オーケストラと共演すると、どうなるものか、一抹の不安を感じます。
しかし、それには布石があって、ボーカルのロジャー・ダルトリーが、自身のソロツアーで、2018年に各地のオーケストラと共演するツアーが行われていました。
そして、2019年にThe Whoがロジャーのソロツアーと同様の手法で、各地のオーケストラと共演する
"Moving On! Tour"が始まりました。
オーケストラの指揮者は、ロジャーのツアーと同じキース・レヴェンソンが務めました。
そして、この"The Who With Orchestra: Live At Wembley" は、2019年7月6日のロンドンのウェンブリー・スタジアム公演をライブ・レコーディグした作品です。
共演しているオーケストラはイゾベル・グリフィス・オーケストラです。
ちなみに、イゾベル・グリフィス・オーケストラ(Isobel Griffiths Ltd | Orchestra Contractors)を調べますと、イギリスで、007シリーズなどの映画やポール・マッカートニーなどのミュージシャンなどと共演経験する幅広い分野で活躍するオーケストラであるようです。
前置きが長くなりましたが、この"The Who With Orchestra: Live At Wembley" を聴きましたら、バリバリにロックなライブ盤で、私の不安は払拭されました。
ギターのピート・タウンゼントは、ヘヴィーなギターを弾いていますし、何よりもドラムのザック・スターキーがパワフルなドラムを叩きまくっています。
ベースは、今回はピノ・パラディーノではなく、ロジャーのバンドのベーシストであるジョン・バトンが弾いています。
あくまで、The Whoの爆音演奏が主体でオーケストラは、BGM的にクールに控えめに演奏されています。
そして、オーケストラのアレンジが秀逸であったのは、Quadrophenia収録曲でした。
加えて、当時まだ発売されていなかったアルバム"WHO"の中から、"Hero Ground Zero"と"Ball And Chain"がという新曲が演奏されている所も特筆すべき事です。
最新のライブ盤であるためか、音質は凄く良いです。
また、ボーカルのロジャーの声の調子が非常に良く、とても70代を超えた老人の声に聞こえない所が凄いです。
そう思っていましたら、プロデュースは、ロジャー・ダルトリー、キース・レヴェンソン、リチャード・ウィッタカーが務めていました。
プロデュースにピート・タウンゼントが関わっていないのは、珍しいと思いました。