
'10年代は、ロック不遇の時代のとなってしまった事実は、否めません。
今はDTMがあれば音楽を制作でき、ライブハウスがなくてもYouTubeさえあれば、音源を発信出来る時代になったので、以前のように『バンドを組んでライブハウスで演奏して…』というストーリーが描けなくなっているかも知れません。
そんな時代を過ごし、『もし現代にビートルズが活動していたら、どうなっていたか?』という連想をしてしまいました。
そこで気付きました。
ビートルズのメインのソングライター、レノン・マッカートニーの、ポール・マッカートニーが、現役バリバリに2010年代に2枚のアルバムをリリースしていることを!
2013年に"New"、2018年に"Egypt Station"をリリースし、どちらも成功しています。
ポールは、『マーク・ロンソンやグレッグ・カースティンといった、旬なプロデューサーを起用して、現代風のサウンドを創り出す手法』を取っています。
結果的には、"New"や"Egypt Station"も、ビートルズとは似て非なるアルバムになっていますが、時代背景を考えると納得です。
この2枚のアルバムを聴き直しましたが、やはりポールの存在感そのものが、カリスマ的です。
そのボーカル、ベースやアコースティック・ギターの音色を聴いてしまいますと圧倒されてしまいます。
まずは、2013年の"New"は日本人の好みに合ったのか、タイトル曲が日本のチャートの4位まで浮上しました。
プロデューサーは、マーク・ロンソンです。
ポールらしい曲ですが、そのサウンドはマーク・ロンソンらしくもあると感じています。
マーク・ロンソンは、プロデューサーとして活動する他に、DJとしても活動する方なので、メリハリが効いた、リズムが感あるカッチリとしたサウンド作りをしていると感じます。
リズムがカチッとしているので、ポールの美しいメロディーを最大限に引き出しています。
対して、"Egypt Station"は個々の曲よりも、コンセプト・アルバム風のサウンドを確立させています。
ポールらしいヒューマンなMVの"Who Cares"ですが、そのイントロは世紀の天才が奏でるクレイジーサウンドで始まります。
プロデューサーのグレッグ・カースティンは、どこか、くすんだサウンド作りで、現代のロック・ミュージシャン達に引っ張りだこのプロデューサーです。
ポールの天才ロッカー振りを引き出しています。
もし、ジョン・レノンが存命であれば、"New"や"Egypt Station"に対し、辛辣な評価を与えていたと思います。
でも、それは対等な関係のジョンだからポールに苦言を言えることが出来ることだと思います。
ポールは、あまりに偉大過ぎて、ミュージシャン・サイドからは誰もアドバイスを与えることが出来ず、マーク・ロンソンやグレッグ・カースティンといったプロデューサー・サイドで共作するしか方法がない所が、悲しい立場です。
"New"や"Egypt Station"も、結果的にポールの天才的な才能とカリスマ性を浮かび上がらせたアルバムだと感じました。
ロックという音楽が登場した時代から、ロックは流行の浮き沈みが激しいジャンルなので、将来的に、また流行するかも知れません。
2020年代に、どのような音楽が出現するのか、楽しみです。