The New Favourites of... Brinsley Schwarz

最近は、英国のパブ・ロックのバンド、ブリンズレー・シュウォーツ (Brinsley Schwarz)にハマっています。
1970年から1975年にかけて活動したバンドで、後年のUKロックの命運を変えたバンドでもあります。

バンドの中心人物は、ベーシストで、殆どの曲をソングライティングしたニック・ロウ。
そしてギタリストで、その名もブリンズレー・シュウォーツさん。
バンドのキャリア途中で、オーディションで加入したリズム・ギターのイアン・ゴムです。

イアン・ゴムもニック・ロウの次に、ブリンズレー・シュウォーツのソングライティングを支えた人物です。
バンドは、ギター2本にベース、ドラム、キーボードという編成です。

バンドは、計6枚のアルバムをリリースしています。
当初、カントリー・ロックを演奏するバンドで、ギターもブリンズレー・シュウォーツさんだけの演奏でした。

しかし、途中でリズム・ギターのイアン・ゴムがオーディションで加入し、徐々に洗練された都会的なパブ・ロックに変貌して行きます。
田舎臭い、カントリー・サウンドから都会的なサウンドは、真逆への変貌です。

そして、3枚目のアルバム、"Silver Pistol"以降は、ニック・ロウとイアン・ゴムは競い合うようにソングライティングしたり、共作したりするようになりました。
それ以降のの4枚のアルバムは、どれも素晴らしいです。

そして、何と1973年のポール・マッカートニー&ウイングスのツアーのオープニング・アクトに抜擢されます。
彼らを選んだポールのセンスも素晴らしいですが、選ばれたブリンズレー・シュウォーツも凄いです。

ポール・マッカートニーは1974年のインタビューで、『ロックは知的になり過ぎてしまった。パブ・ロックのような良いムーブメントが、健全な動きを見せている』と述べています。
そのパブ・ロックとは、間違いなく対バンとして共演した、ブリンズレー・シュウォーツを差すでしょう。

そのポールの予言的なコメント通り、'70年代後半に、パンク・ロックの旋風が吹き荒れ、ニック・ロウは、ダムドをプロデュースし、世界で初めてパンク・ロックのシングルとアルバムをリリースしました。
その他、ニック・ロウは、エルビス・コステロのアルバムを、計5枚プロデュースしました。

イアン・ゴムも、自身が建設したスタジオで、ストラングラーズがレコーディングしています。

脱線しましたが、話をブリンズレー・シュウォーツに戻します。
6枚のアルバムのうち、私が個人的に1番好きなアルバムは、ラストとなった"The New Favourites of... Brinsley Schwarz" です。

ファースト・アルバムから、コツコツと積み重ねたサウンドが、ラスト・アルバムで完成したと感じるからです。
そのサウンドは、初期にカントリー・ロックを演奏していたとは信じ難いほど、洗練されています。
そして、エルビス・コステロは、ブリンズレー・シュウォーツから、多大なる影響を受けたのだと感じてしまいます。

後年、ポール・マッカートニーは、ニック・ロウに縁があるエルビス・コステロと、ソングライティングを共作したりしています。
ポール・マッカートニーは、ウイングス時代にブリンズレー・シュウォーツと共にツアーを巡り、ソロでニック・ロウが長くプロデュースしたエルビス・コステロと共作したりと、この人脈を凄く気に入っている様子です。

'70年代前半のUKロックを、深く聴きますと、パンク・ロックは突然変異で出現したのではなく、ブリンズレー・シュウォーツのようなパブ・ロックが土台を築き、満を持して登場したのだと、感じられます。

New Favourites of
Brinsley Schwarz
Repertoire
2002-11-18