★絵描きの日記

加茂谷正俊のブログです。 絵画を中心に美術やっています。 公募展出展、グループ展や個展などもします。 2010年、2014年、2018年、2022年、富山国際現代美術展に参加。

キンクス

キンクスの牧歌的な曲が、しっくり来た日

Village Green Preservation Society

12日は、様々なアーティストの音楽を聴きましたが、なぜだか、この日の気分にしっくり来ませんでした。

そんな中で、キンクスの"Village Green Preservation Society"は、妙にしっくり馴染みました。
この"Village Green Preservation Society"は、今でこそキンクスの名盤と評価されていますが、リリース当時は全く売れませんでした。
その理由は、このアルバムのタイトルを訳しますと、『村の緑を守る会』で、ニュアンスが分かると思います。

ロックやという音楽は、時代の先端性やオシャレさが求められる音楽ですが、『村』について歌った音楽は、当時は理解され難かったと思われます。
アルバム全体の曲調も、どこか牧歌的な曲が多いです。

この日は牧歌的な曲が、しっくり来た日でした。
このユルさが、何とも絶妙です。
"Village Green Preservation Society"を聴きますと、絵葉書のような英国の片田舎の風景が、脳裏に思い浮かぶアルバムです。





『村の緑を守る会』を歌ったロック・アルバム

Village Green Preservation Society

4日は、キンクスのアルバムを年代順に聴いていました。

キンクスは一度ハマると、深い沼に入り込んでしまいます。
それは、私だけかと思いましたら、キンクスを語るブロガーやYouTuberも、同じ事を言っていましたので、キンクス好きが陥る現象なのだと納得致しました。

特に深い沼のようなアルバムは、1968年の"Village Green Preservation Society"だと思います。
タイトルを直訳しますと、『村の緑を守る会』です。

1968年はサイケデリック・ロックが流行していた時代。
ロンドンはスウィンギング・ロンドンと呼ばれ、サイケな服を着た男性やミニスカートを履いた女の子が、夜な夜なサイケデリック・ロックで踊り狂っていた時代です。

大都会ロンドンが時代の最先端を走っていた時代に、『村の緑を守る会』というアルバムを出すキンクスに、どこか微笑ましさを感じてしまいます。
そのアルバムが、全く売れなかったのも、またキンクスらしいです。

凄く才能があるのに、どこか、ずっこけたエピソードやキャリアを持つ所が、キンクスの面白みだと感じています。


キンクスとマイルズ・ケインの共通の世界観

First of My Kind

22日はマイルズ・ケインの歌声に癒されました。

マイルズの盟友、アレックス・ターナーは、ヒップホップ風な歌い方を特徴とします。
しかしマイルズは、英国伝統のレイ・ディヴィス風の唱法で歌い上げます。
どちらが良いか、それは好みの問題でしょう。


こちらが、マイルズ・ケインの"First of My Kind"です。



そして、こちらがキンクスのレイ・ディヴィスが歌う、"Set Me Free"です。
どちらも、共通したボーカルの声色や、曲の世界観があると思います。

私は、キンクスもマイルズ・ケインも大ファンです。
この英国的な世界観が好きなのです。

それは、まるで英国の画家、ターナーの霧で霞んだロンドンの風景画を連想してしまいます。

First of My Kind Ep [Analog]
Miles Kane
Imports
2012-04-24


キンクス、スモール・フェイセス、ザ・フー

Mods

16日は、キンクス、スモール・フェイセス、The Whoのファースト・アルバムを連続して聴きました。
どのアルバムも、散々聴いていていまして、今さらなのですけどね。
聴いてみますと、本当に三者三様、どのバンドも個性があります。

まずキンクスですが、2本のギターがパッチワークのように、ガシャガシャ絡み合う、キンキー・サウンドと言われるバンド独自のサウンドが特徴です。
そして、レイ・デイヴィスのメロディアスで哀愁漂うソングライティングが、アルバムにメランコリックな味わいを与えていると感じました。

スモール・フェイセスは、まず何よりもスティーブ・マリオットの名唱が素晴らしいです。
スティーブ・マリオットの振り絞るようなソウルフルな歌声に、オルガンを基調にしたバンドのグルーヴが、スモール・フェイセスを特別な存在感があるバンドに押し上げていると思います。
キンクスのディヴィス兄弟と、The Whoのロジャー・ダルトリーには、申し訳ないですが、スティーブ・マリオットが最も素晴らしいボーカリストであることは明白な事実だと思います。

The Whoは、とにかくキース・ムーンのドラムと、ジョン・エントウィッスルのベースのリズム・セクションがワイルド過ぎて、恐怖を覚えるほど暴力的です。
普段何気なく聴いている、The Whoですが、この3つのバンドの中では、リアルタイムでは、最も恐れられたバンドであることが想像出来ます。
ただ、ワイルドなバンドだけでなく、ピート・タウンゼントのオリジナル曲のクォリティーは、キンクスやスモール・フェイセスよりも高いように感じました。

どのバンドも、好みが分かれるかと思いますが、バンドの命運はソングライティングの技量によって、別れていると思います。

キンクスのレイ・デイヴィスと、The Whoのピート・タウンゼントは、両者共に天才的なソングライターですが、スモール・フェイセスのマリオット&レーンは苦戦している気がします。
そのためか、スモール・フェイセスは、'60年代が終わるとスティーブ・マリオットが脱退してしまいます。
キンクスとThe Whoは、息が長い活動をして行くことになります。

しかしながら、スモール・フェイセスが良いことには変わりません。

サニー・アフタヌーン

Face to Face

最近はキンクスのメロディが、妙に心に響きます。
レイ・デイヴィスがソングライティングした曲は、どこか懐かしさを感じます。
その曲調を説明するならば、20世紀初頭に西洋の酒場で演奏されていたような古風なダンスミュージックようです。
レイ・デイヴィスは、当初は"You Really Got Me"のようなハード・ロック調の曲をソングライティングしていましたが、ものの2年ほどで懐かしさを感じる"古風な曲調"に路線変更して行きます。

私はキンクスは昔から好きですが、年齢を重ねるうちにレイ・デイヴィスの"古風な曲調"が胸に響くようになって来ました。
上の写真の"Face to Face" は、ハードロックな路線から、"古風な曲調"に路線変更し始めた頃のアルバムです。

特に"Sunny Afternoon"(サニー・アフタヌーン)は私が好きな1曲です。
その、けだるいメロディに、意味ありげな lyricsが歌われています。
税金の徴収係から家の財産を差し押さえられ、晴れた夏の日の午後にぼんやりと過ごすしかない状況に陥った人物について歌われています。
英国は税金が高いですからね…。

ちなみに英国で成功したロック・スターが、こぞって国外に転居するのは税金対策が多いようです。
逆にレイ・デイヴィスのように英国から転居しないロック・スター達は、愛国心があるからなのでしょうか?


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