★絵描きの日記

加茂谷正俊のブログです。 絵画を中心に美術やっています。 公募展出展、グループ展や個展などもします。 2010年、2014年、2018年、2022年、富山国際現代美術展に参加。

キース・ムーン

芸人ですか?

'60年代のイギリスのロックバンドの写真を見ると、優れたバンドはフォトジェニックな風貌を備えていることに気付きます。
ビートルズの写真は真面目かつ、お洒落な印象を与えます。
ローリング・ストーンズはダークで不良っぽい雰囲気の写真が多いです。
そんな、ビートルズやローリング・ストーンズに負けないオーラを放っているのが、ザ・フーです。

その風貌を一言で言うならば、『愉快そうな連中』ですね。
二枚目なのに背が低くて短足な男、やたら鼻がでかい男、やたらに丸顔な男、暗くて不気味な男と、まるでお笑い芸人のようです。

バンドをやっている若い男子は、古今東西を問わず、女の子にキャーキャー言われるのが常ですが、ザ・フーの場合は、そのルックスが災いしてか、ライブ会場は野郎ばかりだったそうです。

これが、ザ・フーの写真です。
向かって一番右が、二枚目なのに背が低いボーカルのロジャーダルトリーです。
この写真でも背の低さが分かります。
イギリス人なのに身長が、164cmしかありません。
右から2番目で白いジャケットを着ているのが、暗くて不気味なベースのジョン・エントウィッスルです。
この写真でも、なぜか沈鬱そうな表情です。
右から3番目の鼻がでかくて細面の男が、ギターのピート・タウンゼントです。
この写真ではなぜか眠そうな表情をしています。
そして、ジョーカーのようなコスプレをしている丸顔の男が、ドラムのキース・ムーンです。
この男は、明らかに芸人風情です。
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これが、ザ・フーがバラエティー番組に出演した時の映像です。(実は結構有名な映像なんですよ)
ほとんどコントですね。
ボーカルのロジャー・ダルトリーの衣装が、とってもオシャレです。
最後のオチの大爆発は、ドラムのキース・ムーンが、テレビ局のスタッフを賄賂で買収し、火薬の量を倍にしたため、大暴発したそうです。


一応、断っておきますが、ザ・フーはコミック・バンドではありませんよ。

キース・ムーンとその死の謎に迫る

 今日は伝説のドラマー、The Who(ザ・フー)のキース・ムーンの話です。11月の、来日の話題で盛り上がっているザ・フーですが、キース・ムーンは居ません。1978年という遠い昔に亡くなっているからです。ザ・フーは、キース・ムーンが亡くなった後も契約のため、1982年まで活動を続行しますが、そのサウンドは似て非なるものになってしまいます。それ程 キース・ムーンの存在は大きかったのです。ザ・フーのメンバーは、ソングライターのピート・タウンゼントが有名ですが、それ以上にドラマーのキース・ムーンが有名です。
 全盛期のキース・ムーンの映像を観ると、千手観音のように素早くドラムを叩いている様子が観れます。あまりの気迫と凄みに、観ている方まで、その気迫に負けてしまう程です。特にザ・フーの初期の頃の曲など、殆どドラムの音しか聴こえないと言っても過言ではありません。
 彼がザ・フーに加入するきっかけは、キースがまだ加入する前のザ・フーのライブの時、突然ビール片手に全身黄色い服を着たキース・ムーンが、『俺の方が巧く叩ける』とステージ向かって言って来て、試しにドラムを叩かせると、ドラム・キットを叩き壊した後、ステージ上に吐瀉物を、撒き散らして倒れた事が、メンバーに気に入られたからです。
 その逸話からも分かる通り、キース・ムーンは破天荒なキャラクターとしても有名です。ステージでは、ギターを破壊させるピート・タウンゼントのパフォーマンスに感化され、ドラムキットを蹴散らして観客席に投げ込んだりします。オフステージでは、パーティーで悪乗りの末に、全裸になる事は日常茶飯事でした。彼の21歳の誕生パーティーの時にロールスロイスを運転してプールにダイブして沈めたという逸話も残っています。また、テレビのバラエティー番組にザ・フーが出演した際、ドラムキットを破裂させる場面で、テレビ局のスタッフに、火薬を増量させるよう賄賂を渡し、大爆発させたというエピソードもあります。その映像は今でも残っていて、爆風でバンドのメンバーが吹き飛ばされる様子を観る事ができます。そんなキース・ムーンのキャラクターは、センセーショナルなバンドのイメージにぴったりです。
 その一方でドラムについては真摯で、その名プレイは、今でもCDやDVD聴く事が出来ます。
 キース・ムーンの死因は、よくドラッグと言われますが、ドラッグではなく、抗酒薬ジスルフィラム(アンタビュース)を服用して飲酒したためです。ジスルフィラムは肝臓のアセトアルデヒド脱水素酵素を阻害させる作用があります。アセトアルデヒドは飲酒によって体内で発生し、頭痛、吐き気、動悸などを誘発させる、いわゆる二日酔いの元凶となる成分です。通常は、肝臓のアセトアルデヒド脱水素酵素が働いて、アセトアルデヒドを水と二酸化炭素に分解するので、少々飲酒しても悪酔いしないのです。ジスルフィラムは、肝臓によるアセトアルデヒド脱水素酵素の働きを阻害させる事によって、極端なアセトアルデヒド中毒にさせてしまいます。その際に血管拡張による急激な血圧低下を惹起させる事もあります。その作用を利用して、アルコール依存症患者に『抗酒薬』として処方されます。
 ザ・フーの面々は、行く先々で大量に飲酒して乱痴気騒ぎを起こすことで有名でした。そのため、キース・ムーンだけでなく、ピート・タウンゼントまでアルコール依存症になってしまいます。そんなキース・ムーンにジスルフィラムが処方されている事は容易に推測が突きます。
 1978年9月7日、キース・ムーンは、ポール・マッカートニーが主催するバディ・ホリー生誕記念パーティーに、出席します。偶然その時の写真が残っていて、酔っ払って絶好調なキース・ムーンのジョークに、ウンザリしている、ポールとリンダのマッカートニー夫妻の姿が残されています。そして、大量飲酒した後、帰宅してジスルフィラムを服用して、その晩のうちに亡くなってしまいます。ジスルフィラムを、服用して大量の飲酒する事は、急激なアセトアルデヒド中毒に陥いる危険な行為です。推測ですが、キース・ムーンは、アセトアルデヒドによって惹起された血圧低下によって、抹消循環不全に陥り、脳への血流量が減少して、脳死に陥って亡くなったのでしょう。
 バンドのメンバーは、彼のその破天荒なキャラクターゆえ、葬式はジョークではないかと思ってしまいますが、悲しむキースの家族を見て本当の葬式だと悟ったそうです。
 もうキース・ムーンの素晴らしいドラムプレイは、CDを聴く事しかありません。興味ある方には、ザ・フーのファーストアルバム、“My Generation”がお薦めです。c9aaabab.jpg

The Kids Are Alright ザ・キッズ・アー・オールライト

Kids Are Alright

The Kids Are Alrightはロックバンド、The Whoのドキュメンタリーの題名です。
The Whoをことを知らなくても、The Kids Are Alrightを観ればたちまち彼らの事が分かります。

私はこのドキュメンタリーの世界感に大変な影響を受けています。
ロック・バンドのメンバーは気取っていたり、気難しかったりしますが、The Whoのメンバーはバラエティー番組のコントみたいにドタバタ喜劇を繰り広げています。

初めて観た時は、こんなロックバンドが世の中に存在したのかと目から鱗の思いでした。
それからこのドキュメンタリーの世界に夢中になりました。
この世界観はイギリス人らしい皮肉とユーモアに満ちています。

Kids Are Alright

また、彼らのステージアクションは凄まじく、特にドラムのキース・ムーンは、尋常でない程、激しくドラムを叩いています。
まさに命を削ってドラムを叩いていた事が分かります。

ギターのピート・タウンゼントによる楽器破壊のパフォーマンスも大量に収録されていますが、そのパフォーマンスを見て喜ぶか嘆くかで、この作品のが好きか嫌いか別れます。
興味ある方はDVDをご覧下さい。

※この記事は、2016年1月4日に投稿当時の原文を損なわない程度に修正を加えました。
上記の映像はDVDでご覧になれます。


ロックはこの音! エレクトリック・ギターを“ジャーン!”

Pete Townshend

近頃、フランスのポップスとミルクティーにばかり夢中なっていて、ロックの喧騒から距離を置いていました。その優雅な時間を切り裂いたのはThe Whoです。
何気なくYou TubeでThe Whoの1966年のフランスでのライブを観てからです。



The Whoが登場しますと、ギタリストのピート・タウンゼント挨拶がわりに、エレクトリック・ギターを“ジャーン!”と鳴らし不敵な笑みを浮かべます。
この“ジャーン!”と鳴った数秒間がロックのライブで最も感動的な瞬間です。
これこそロックの音です。ピート・タウンゼントが不敵な笑みを浮かべていたのは、エレキギターを鳴らした瞬間の観客の驚いた顔を見たためでしょう。

Keith Moon

曲は1曲目がビーチ・ボーイズのカバー“バーバラアン”です。
ボーカルは何とドラムのキース・ムーンです。2曲目は“マイ・ジェネレーション”で会場は一段とヒートアップします。
ボーカルのロジャー・ダルトリーはマイクをシンバルに叩きつけるパフォーマンスを繰り返します。

Roger Daltrey

The Whoの面々のパフォーマンスは魅力一杯です。
こんな昔でも、ロックの何たるかがもう出来上がっているのです。
恐るべし、The Whoです。

※この記事は、2017年12月10日に、投稿当時の原文を損なわない程度に編集を致しました。
※上の写真は、下のDVDの画像を撮影して投稿致しました。



Pictures Of Lily

邦題『リリーの面影』と題されたザ・フーの1967年の曲です。
Pictures Of Lilyは曲調やボーカルの声色は甘い感じですが、バックで流れるバンドの音はヘビーです。
その落差が、この曲の良い所で、凡庸なポップスに陥らずに済んでいます。
歌詞は男の子の自慰行為について歌っており、それもまたこのバンドの特色が出ていると思います。

ザ・フーというバンドは『思春期の少年』を描くことに長けたバンドで男の子達に絶大なる支持を受けていますが、女の子達の人気はサッパリというバンドです。
確かに女の子が、男の子の自慰行為の歌を聴いた所で、共感を得ることはありません。

1967年という年は、ロックやファッションにとって変革の年で、愛と平和を謳ったフラワームーブメントと呼ばれる流行がありました。
その『愛と平和』の時代にその歌詞の内容は異彩を放っています。

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バンドのソングライターであるピート・タウンゼントは、そんな世の中の潮流を分かった上でこの曲をレコーディングしている確信犯です。
曲やサウンドの雰囲気そのものは、フラワームーブメントの影響がみられますが、歌詞で他のバンドと差をつけています。

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この2年後に、ザ・フーはビートルズやローリング・ストーンズをもしのぐような巨大なスタジアム級のバンドに成長していきます。
この曲は後の大成功を予感させるような、ただ者ではオーラが漂う曲であると思います。

Substitute

またまた音楽ネタで申し訳ないです。
ザ・フーのSabstitute(代理人)邦題、恋のピンチヒッターは、このバンドの代表的な一曲です
後にセックスピストルズやブラーもカバーしたパンクの香りが漂う1曲です。

印象的なのはイントロのリフですが、カバーの場合、これをどうアレンジするかで、そのバンドの個性が決まるようです。オリジナルは、エディ・コクラン風にアコースティックギターとエレクトリックギターをオーバーダビングして、かなりポップに仕上がっています。

しかし、これがライヴになると、ギタリストのピート・タウンゼントは、ディストーションを効かせて、かなり短気で乱暴な演奏をします。この時、ドラムのキース・ムーンは必要以上にシンバルをシャンシャン鳴らして、よりやかましくなります。
セックス・ピストルズやブラーがカバーしたのはライヴの演奏が元のようです。

Substitute

実は、この曲はザ・フーにというバンドに曰く付きのシングルで、レコーディングプロデューサーと、印税について揉めて裁判沙汰になり、仕方なくギタリストのピート・タウンゼントがプロデュースした曲であったのです。

巨大な音楽産業の中で、人の手を借りずに、自分の手で作るという精神はパンクに通じる所があります。
このシングルはレコード会社によって、B面にザ・フー以外の曲を収録されたり、また裁判沙汰に巻き込まれたりしました。
そんなゴタゴタが続くなか、全英4位までヒットチャートを昇ったのは曲そのものが良かったからであると思います。

それにしても、邦題の『恋のピンチヒッター』はいただけない。
歌詞そのものは人間の嘘や欺瞞を歌っているからです。
そういえば、この話題は矢郷良明さんのブログ でも取り上げていたなぁ。


※この記事は2020年9月21日に、投稿当時の原文を損なわない程度に編集致しました。
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