★絵描きの日記

加茂谷正俊のブログです。 絵画を中心に美術やっています。 公募展出展、グループ展や個展などもします。 2010年、2014年、2018年、2022年、富山国際現代美術展に参加。

ゴーギャン

意外ですが…

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サマーソニックの帰りの新幹線で、中野京子著の“印象派で「近代」を読む”を読みました。
この本は印象派絵画を世界史と絡めて説明しています。
美術と歴史が好きな私には、打ってつけの本です。
文章も平易で読み易かったです。
現代美術好きな私が、印象派について語るのは意外かも知れませんが…。
私が10代の時に、ロバート・ラウシェンバーグやジャスパー・ジョーンズに強く影響を受けて美術の勉強を始めましたが、その頃専ら、制作は印象派を参考に制作していました。
ロバート・ラウシェンバーグ風やジャスパー・ジョーンズ風の作品を制作したら、美術教師から大目玉を食らいそうだったからです。
それで、印象派風の画風なら、大目玉を食らわず、大丈夫そうだということで、特にゴーギャンの作品を参考に制作していました。
ゴーギャンのタッチが好きだったからです。
でも、やり過ぎて、ゴーギャン風の、タヒチか何か分からない南国風の作品を描いて自爆しました。

この本でも述べていますが、印象派の登場には、日本の開国が深く関与しています。
日本の開国によって浮世絵の存在がフランスにも伝わり、流出していきました。
浮世絵の遠近法のない、平板な作風が当時の若い画家に影響を与え、印象派の画風を作るのに寄与したのです。
1853年にペリーが来航し、1854年・日米和親条約が調印され、1863年にマネが“オランピア”を発表。
なるほどです。

印象派で「近代」を読む―光のモネから、ゴッホの闇へ (NHK出版新書 350)
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ゴーギャン展に行ってきました

千代田区の東京国立近代美術館で開催中のゴーギャン展に行ってきました。
ゴーギャンは、元祖『南国の画家』として知られていますが、初期の頃は印象派風の作風だったり、ゴッホと共同生活をしている時はゴッホ風だったりして大変奥が深いです。
私はゴーギャンの筆のタッチが好きで、ゴーギャンの全ての時代の作品が好きです。
私が、絵画制作に興味を持ち始めた頃は、ゴーギャンの作品を参考に制作したものです。
その影響は、現在まで引きずっていて、女性を象徴的に描く私の画風のルーツとなっています。
そこまで影響を受けていながらも、まとまったゴーギャンの展覧会へ行ったのは、今回が初めてです。
何よりも有名な大作、『我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか』を観れたことが感慨深かったです。
また、その他画集でしか観たことなかった作品を間近で観れて良かったです。
私は、こういった展覧会に行った時、どんなお客さんが観に来ているのか、チェックするのですが、『ゴーギャン展』に関しては、比較的若い世代が多いのと、外国人が多いことに 気付きました。
ということは、日本人の年配の方にはゴーギャンの評価が低いことになります。
『ゴーギャン展』と正反対だったのは『モネ展』で、モネ展の会場は、白髪の日本人ばかりでした。
同じ印象派の作家でも、こんなにファン層が違うのかと感心しました。
展覧会を見終わった後、地下鉄竹橋駅で電車を待っていたら、南国風・リゾート風の柄のワンピースを来た女性が沢山居ました。
まるで、ゴーギャンの絵画から飛び出した女性のようにも見えましたが、電車に乗って他の駅から入って来た女性も、リゾート風の柄のワンピースを着ていたので、今年の流行りなんだと納得しました。
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絵描きはなぜ旅をするのか

絵描きはなぜ旅する人が多いのか、大いに興味がある話題です。
山下清が有名な事例ですね。
元来スペイン人であるダリも、お金に物を言わせてパリやニューヨークの高級ホテルを泊まり歩いています。
一時はアメリカに住んでいたこともあります。
ゴッホは南仏に魅せられ、ゴーギャンはタヒチに魅せられます。
私も、どこに住んでいようが、毎月(時には毎週)遠方へ移動します。
お金のない学生時代も車を運転したり、夜行列車に乗ったりしてまでして旅していました。
旅そのものには、そんなにお金はかかりません。
究極的には徒歩と野宿すれば良いのですから。
絵描きの頭の中には、いつも『図面』があります。
目で見た立体物を遠近法で分析してしまう習性があります。
究極の立体物は地球です。
その立体物を捉えるのは移動しかありません。
それが、絵描きが無意識の中で旅する理由でしょう。
もう一つ、意識化で旅する理由があります。
絵描きは、『絵空事』を描かなければならないため、非日常を探し求めます。
このパターンはゴーギャンやゴッホに当てはまると思います。
私は、いつも遠方に旅してばかりいて、周囲の人に不思議がられますが、上記2つの理由で旅をしています。

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気まぐれギャラリー
『シャキーンとした猫』
2019年

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