★絵描きの日記

加茂谷正俊のブログです。 絵画を中心に美術やっています。 公募展出展、グループ展や個展などもします。 2010年、2014年、2018年、2022年、富山国際現代美術展に参加。

ザ・ジャム

『時代不詳のロック』

Heavy Soul












本日は、毎朝の体重測定で、今年のベストを更新しました。
でも、体調がイマイチなので、複雑な心境です。

この日は気分でポール・ウェラーの曲を聴きまくっていました。
ポール・ウェラーは、多様な音楽性を持つことで知られるUKロックの親玉的な存在ですが、私はポール・ウェラーの曲でも、ロックっぽい曲が好きです。
なので、アルバムも“Heavy Soul” (1997年)とか、“As Is Now” (2005年)とか、ロック色の強いアルバムが好きです。
特に、“Heavy Soul” は、リアルタイムで聴いた時の思い出とか、蘇りはすれども、懐かしの'90年代サウンドとは感じませんでした。
同時代のブラーやオアシスなどを今聴くと、『うわっ懐かしい〜』と感じますが、なぜかポール・ウェラーの曲は、そう感じないのです。

それは、この頃のポール・ウェラーは、表面的な流行に目移りせずに、シンプルでオーソドックスなロックを演奏していたからに違いありません。
実際、“Heavy Soul” は無駄がなくて、シンプルかつ普遍的なロック・サウンドです。
その頃、若造だったブラーやオアシスに比べて、当時30代後半だったポール・ウェラーは、ブレずに既に自分のスタイルを確立させていたからでしょう。
まぁ、ポール・ウェラーは10代から20代にかけて、ザ・ジャムやザ・スタイル・カウンシルの時代を通し、流行に色目を使った曲や、サウンドを散々作り尽くしていたので、『流行など、何を今更』と感じてもおかしくはありません。

この、“Heavy Soul”の収録曲も、聴きようによっては、'60年代〜'70年代初頭のロックにも聴こえますが、感覚的には'60年代〜'70年代初頭にはあり得ないシャープな現代的な感性があり、『時代不詳のロック』と感じられます。
この、『時代不詳のロック』という感覚は、ポール・ウェラーのソロ・ワークに共通して言えるかも知れません。

Heavy Soul
Heavy Soul [CD]

The Enemy

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人はあるバンドを好きになるには、まずCDを聴いて好きになり、ライブに行ったりするようになります。
しかし、私にとってThe Enemyは初めてライブで知って気に入ったバンドです。

今年のサマーソニックの2日目の第一発目がこのThe Enemyでした。
まだ、午前中だというのに、マリンスタジアムを熱狂の渦に巻き込みました。
The Enemyは3ピースのバンドで、ソングライター、ギター、ボーカルのトム・クラークがまるで、若き日のポール・ウェラーにそっくりで、まるでThe Jamのライブを観ているような錯覚にさせます。
ボーカルの発声や大粒の汗をたらして、青筋立ててシャウトする姿はポール・ウェラーそのものです。

こういったバンドの音は、The Jamや初期The Whoとか、そういったバンドのファンにはたまらないと思います。
心当たりある方は今すぐThe EnemyのCDを買いに行きましょう。
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どことなく若き日のポール・ウェラーと雰囲気が似ているソングライター、ギター、ボーカルのトム・クラーク。

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この写真は、音楽雑誌ではありません。ファッション雑誌のSoup最新号での1コマです。日本のファッション雑誌からも取材を受けるなんて凄い人気です。

Beat Surrender

この曲は、The Jam(ザ・ジャム)の解散直前、最後のシングルです。 実はこの曲は個人的に思い出があります。それは、この曲がリアルタイムでヒットしている時、私は中学1年生で、偶然ラジオでこの曲を耳にしたのです。遠く離れたイギリスでヒットしていた曲を、日本の田舎の中学生が耳にする程、当時のザ・ジャムの影響力があったのです。尤も、その頃は私自身、ザ・ジャムの事は何も知らなかったし、この曲を『何?この軟弱な曲!ハッハッハッ(^○^)』といった感想でした。数年後にCDを購入してから、この曲が、ザ・ジャムというバンドの曲であるという事を知りました。でも、この曲のメロディーやポール・ウェラーの歌声を忘却せずに、しっかり覚えていたという時点で、優れていたのでしょう。この曲がヒットした中学1年の私は、妙にテンションが高く、私語がやかましく、授業中に変なギャグを言って、授業を妨害するような子でした。さぞかし先生達を困らせた事でしょう。中学2年生から、急に受験勉強の鬼になって周囲を驚かせましたが、私にとって、中学1年生は、子供らしい子供の最後の年だったのでしょう。この曲の真意を知るのは、18歳になって、ジャムのCDを買って聴いてからです。→続く402351b6.jpg
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In The City

Paul Weller

In The Cityは、時々無性にに聴きたくなるザ・ジャムのデビュー曲。
実は同名異曲のザ・フーの曲がありますが、ザ・ジャムの方が有名です。
ザ・フーが1966年の曲で、ザ・ジャムの方が1977年の曲です。

でも、ザ・フーIn The Cityと、ザ・ジャムIn The Cityは歌の出だしがかなり似ています。
作曲したポール・ウェラーをはじめ、ザ・ジャムのメンバーは、初期のザ・フーの音楽とビジュアルイメージそっくりにしていた位ですから、当然この曲は知っていると思います。

私が興味深いのは、ポール・ウェラーが曲を作る際のプロセスが垣間見える所です。
恐らく、ザ・フーのIn The Cityをカバーして、色々いじり回してザ・ジャムの同曲が完成したと思われます。
歌の出だしが以外は全く違う曲であるし、何よりもあの強烈なイントロを思い付いただけでも素晴らしいです。

あのイントロをフルボリュームで聴くと、とんでもない事になります。
興味がある方はCDを買って、ヘッドホンか、カーステレオでフルボリュームで聴いてみて下さい。
私は耳から血が出るかと思いました。
この曲をタイトルに冠したザ・ジャムのファーストアルバムも素晴らしく、UKロックに興味がある方は必聴であると思います。

In The City

アルバム全編を通して、激情的に激しいギターサウンドの高速な曲が散りばめられています。
これは殆んどパンクロックの影響下にあるアルバムです。

このバンドはよくジャンル分けで議論されますが、『パンク』と紹介される時もあれば、『モッズ』と紹介される時もあります。
しかし、モッズは基本的にファッション用語であるし、パンクであるとすれば、曲調がモータウン系に寄り過ぎています。

まあ、強いてジャンル分けするならUKロックという事でしょうか?
ザ・ジャムがブレイクした15年後にブリット・ポップと呼ばれるムーブメントが起こり、ブラーやオアシスが人気を博しますが、ザ・フーなどの60年代イギリスのバンドの影響を下地に、モダンなロックの曲を作るという方法論はザ・ジャムを踏襲したものだと思われます。

※この記事は2020年12月6日に、投稿当時の原文を損なわない程度に編集致しました。

IN THE CITY
JAM
POLYD
1997-09-01


ポール・ウェラー

Paul Weller

ポール・ウェラーは、言わずと知れたUKロックの大御所です。
知らない人に説明すると、1977年〜1982年までザ・ジャムというロックバンドで活躍し、1983年〜1989年までザ・スタイル・カウンシルというユニットでモータウンやジャズ、R&Bなど、あらゆるスタイルを取り入れた斬新なポップスを作りました。
その後は、ポール・ウェラー自身のソロで活躍して、貫禄あるロッカーとして活躍しています。

何が凄いかというと、ザ・ジャム、ザ・スタイル・カウンシル、ソロと全て成功し、イギリスにおいて、20年以上にわたりヒットシングル、ヒットアルバムを出していることです。
何故かこの方は日本人にも受けが良く、日本でもそこそこの人気を得ていて、ある年代は信奉者まで居ます。ポール・ウェラーの音楽の良さを一言で言うと、次の3事項に要約されます。

1.美メロを作れる
2.そのコクのある歌声
3.がむしゃらにかき鳴らすギター。

これに尽きると思います。その才能はかなり早熟で、ザ・ジャムとしてデビューした時は18歳でした。
その音を年代順に聴くと、一人の男が成長する様が良く分かります。

ザ・ジャムはお世辞にも上手なバンドではありませんがキャリアを重ねていくうちに、ポールが美メロを作曲するテクニックを身につけていく様が良く分かります。
ポール・ウェラーの作曲のクオリティーが高くなり、かつバラエティーに富む曲になっていき、ザ・ジャムでは演奏できなくなってきました。
ライブでもレコーディングでも、ゲストミュージシャンを大勢呼ぶことになり、バンドとしての体裁が保てなくなり解散しました。

Paul Weller


次に結成したザ・スタイル・カウンシルでやっとプロのミュージシャン達と仕事が出来るようになり、作曲やボーカルにおいてますます成長していきました。
しかしギターは、相変わらずがむしゃらにかき鳴らす感じであったので、音量を極力抑えていたり、ギターを曲に入れなかったりしました。
モータウン風のブラスの入ったポップスは、まさに良質のポップ職人でした。
しかし、ザ・スタイル・カウンシルは、あまりに多様な音楽スタイルを取ったため、収集が付かなくなり解散。

Paul Weller

その後、90年代に入り、自身のソロを始めましたが、モータウン風のザ・スタイル・カウンシルと打って変わって、ストレートなロックを始めました。
しかしここでも、きちんとしたミュージシャンをバックに丁寧に作られていったので、ザ・スタイル・カウンシルの経験は生かされています。

ストレートなロックなので、ポールのギターはがむしゃらにかき鳴らしていますが、ザ・ジャムやザ・スタイル・カウンシルの頃より数段上手くなっています。
この頃になると、若いイギリスのミュージシャンからリスペクトされるようになり、『スタンリー・ロード』などの名作も発表されました。

これだけ長く息の長い活動が出来るのは、やはり美メロを作曲する能力が、並外れて天才的だからではないかと思います。
何しろ彼は18歳の頃からただ者ではなかったのだから。
最近はルックスも貫禄が出てきて、UKロックの親分みたいな頼もしさが出てきています。

※この記事は2019年9月16に、投稿当時の文面を損なわない程度に編集致しました。
※上の写真は下記の"Hit Parade"の映像を、投稿当時に撮影したものです。

Hit Parade/ [DVD] [Import]
Paul Weller
Yep Roc Records
2007-02-06

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