Miles Kane

6日は、マイルズ・ケインのアルバムを聴きまくりました。

全体的に、一通りききまして、『マイルズは、ロックな人だ』と痛感しました。
キャリアの早いうちから、エレクトリック・ギターとボーカルを中心としたSSWとしての活動は2010年代としては正解だったと思います。
2010年代は、バンドよりもSSWの方が主流であり、ロック・マニアからすると残念な時代ですからね。

SSWとして活動するマイルズも、バンド魂を忘れずに、必ず誰かと共作したり、セッションしたりして、曲をリリースする姿が、ロックに感じました。

Rascalize

まずは、2008年のザ・ラスカルズの"Rascalize"です。
リバプールのローカル・バンドであったリトル・フレイムスのリード・ギタリストであったマイルズが、リトル・フレイムスとは別活動として、ザ・ラスカルズを結成します。
ザ・ラスカルズのリズム・セクションであったベースのジョー・エドワーズ、ドラムのグレッグ・ミグホールの3人ですが、マイルズはボーカリストとソングライターとして、フロントマンとしてのデビューを飾ります。
結果的にキャリア史上、マイルズのサイケなギターが思う存分、堪能出来る1枚となっています。
ザ・ラスカルズとしてバンド名義ではありますが、この"Rascalize"がマイルズのファースト・アルバムと定義しても良いでしょう。
Rascalize
The Rascals
Deltasonic / Hostess
2008-07-08


リトル・フレイムスとザ・ラスカルズが、アークティック・モンキーズの対バンだった縁で、アレックス・ターナーとラスト・シャドウ・パペッツを結成し、マイルズは一躍スターになりました。
結果的にザ・ラスカルズもリバプールのローカル・バンドに陥ってしまったことで、マイルズはロンドンに出て来ます。

Miles Kane


そして、アークティック・モンキーズのアレックス・ターナーとソングライティングを進め、スーパー・ファーリー・アニマルズのグリフ・リースのプロデュースでアルバムを完成させました。
それが、2011年の"Colour of the Trap"です。

COLOUR OF THE TRAP
MILES KANE
COLUM
2011-05-06


ブリット・ポップのバンドであるスーパー・ファーリー・アニマルズのクリエイター、グリフ・リースの助言もあり、ブリット・ポップを2010年代に再現させる手法を確立させています。
この"Colour of the Trap"が、現在までにおけるマイルズ・ケインの作風を決定付けるアルバムとなっています。

Don't Forget Who You Are

2013年の"Don't Forget Who You Are"は出身地、リバプールに縁があるブリット・ポップ・バンド、The Lightning Seedsのイアン・ブルーディーをプロデューサーに迎えました。
そして、ポール・ウェラー、アンディー・パートリッジといったUKロックの大御所とソングライティングしたり、レコーディングをして、更にブリット・ポップの正統な後継者であることを印象付けました。

大御所のミュージシャンと共作、共演したマイルズは、一流のミュージシャンとして認められました。
Don't Forget Who You Are
Miles Kane
Imports
2013-06-11



英国の国内で、英国スタイルのロックで成功したマイルズは、その後活動の拠点を、何とロサンゼルスに移してしまいます。
2016年は、アレックス・ターナーとのユニット、ラスト・シャドウ・パペッツの新作のリリースとツアーに明け暮れ、2018年に"Coup De Grace"(クー・デ・グラ)をリリースしました。

Coup De Grace


しかしながら、"Coup De Grace"は米国風のサウンドではなく、またもや英国風でした。
それもそのはずで、同世代の英国のSSWのジェイミーTと2人で、レコーディングしたからです。
プロデューサーは、米国人ながら、英国のミュージシャンと縁が深いジョン・コングルトンを起用しています。
共作したジェイミーは、のどかにアコギを弾いているタイプのSSWではなく、ヒップホップを大胆に導入したストリート寄りのSSWです。
結果的にグラム・ロックやパンク・ロックといった、ブリット・ポップでも、ストリート寄りの音作りになりました。

Coup De Grace
Miles Kane
Virgin
2018-08-10



リバプールからロンドン、そしてロサンゼルスに活動拠点を移して行ったマイルズ・ケインです。
何かと、ロックという音楽がマニアックに陥って行く2010年代を、自らの知恵と人脈でサヴァイヴして行く姿は、頼もしく感じてしまいます。