★絵描きの日記

加茂谷正俊のブログです。 絵画を中心に美術やっています。 公募展出展、グループ展や個展などもします。 2010年、2014年、2018年、2022年、富山国際現代美術展に参加。

ジョン・エントウィッスル

The Whoの音楽は、若さの象徴だと思います

My Generation Super Deluxe box set

11日は、私の人生の中で最も影響を受けたバンド、The Whoを1日中聴いていました。
車の中であったり、自宅であったり、私が滞在している全ての場所で聴きました。

その中でも、最も気に入ったのは、最初期の音源です。
The Whoが最初にヒットさせたシングル、"I Can't Explain"のリリース当時(1965年1月15日)は、ソングライター・ギタリストのピート・タウンゼント(1945年3月19日生)は、19歳でした。
そして、バンドの最年少メンバーであったキース・ムーンにいたっては、18歳(1946年8月23日生)でした。

ピートは20歳になる直前で、キースは半年以上経って19歳になるという計算になります。
ちなみに、ボーカリストのロジャー・ダルトリー(1944年3月1日生)は20歳。
ベーシストのジョン・エントウィッスル(1944年10月9日生)で20歳です。
いかに、早熟なバンドであったのか、伺い知れます。


彼らのファースト・アルバム、"My Generation"がリリースされた日は、同年の12月3日なので、11ヶ月も満たしていないことになります。
4人の若者達が演奏した、そのサウンドは若々しく、ピートの曲も普遍的な若者特有の感情をソングライティングしています。

存命しているピートもロジャーも、こんなに若い頃にレコーディングされた音源が、歴史的な名盤になるとは、思っていなかったでしょう。

私もThe Whoの曲に出会ったのが、19歳だったので、改めて聴き直しますと、当時のメンタリティーが、ふつふつと沸き上がって来るので不思議です。

The Whoの音楽は、若さの象徴だと思います。

MY GENERATION / LTD.ED
WHO
POLYD
2016-11-18

ロック・バンドの生き様まで体現したシングルのボックスセット!

MAXIMUM AS & BS

9日に、驚くべき物がAmazonから届きました。
それは、The Whoの"MAXIMUM AS & BS"です。

なぜ驚く物かと申しますと、この"MAXIMUM AS & BS"は、2017年11月13日に注文した物だったからです。
Amazonで注文してから約1年1ヶ月もかかった物は、初めてですし、最長記録です。

発注してから、3ヶ月に1回の頻度で、『発送が遅れています』とメールが届いていました。
でも、そのメールの受信が日常になってしまい、そのうち気にも留めなくなり、注文したことも忘れかけてしまいました。
なので、12月8日に、『発送しました』というAmazonの通知を見た時は、目を疑いました。

もちろん、ダウンロードしたり、ストリーミングで保存したりという方法もありました。
しかしながら、The Whoの大ファンで熱心なコレクターの私は、公開されていた全曲を全て知っている曲だったので、そのような手段は取らず、CDで"アイテム"として入手したかったのです。

届きますと、豪華なブックレットとCDのDisc 5枚の、良いボックスセットだったので、結果的に良かったと思っています。

この"MAXIMUM AS & BS"は、シングルやEPのA面及びB面の全曲をリリース順に収録したボックスセットです。
リリースした時期までも頭に入っている大ファンの私ですが、改めて聴きますと、シングル用の曲だけあって、クォリティーが高いと感じました。

まずは、ロック・バンドのシングルなので、アップテンポからミディアムの曲が続き、キース・ムーンのドラムとジョン・エントウィッスルのベースのグルーヴが素晴らしいと感じられました。

そして、ソングライターのピート・タウンゼントが、キャリアを積む毎に、一介のロックのソングライターから『天才音楽家』への変貌を遂げる姿も、手に取るように分かりました。
ピート・タウンゼントだけでなく、Disc 3までにキース・ムーンやジョン・エントウィッスルはカリスマ的なプレイヤーになり、ボーカルのロジャー・ダルトリーもカリスマ的なボーカリストに成長しました。

しかし、Disc 4の途中でドラムのキース・ムーンは故人となり、Disc 5の途中でベースのジョン・エントウィッスルも故人となり、それぞれのパートのグルーヴが失われて行きます。
Disc 5は、ファンとしては辛いものになるかと思いきや、残されたピートが"天才音楽家"振りも成熟さを増し、ロジャーのボーカルも黒人ブルース・シンガーのような境地に達するようになりました。

"MAXIMUM AS & BS"は、ただ単に、ベテランのロック・バンドのシングルを羅列した音源ではないことを気付かされました。
"MAXIMUM AS & BS"は、ロック・バンドの生き様まで体現したシングルのボックスセットになったと思います。
ロック・バンドにとって何よりも手痛いのは、バンドのメンバーが命を落として失うことです。
それを2度も乗り越えて、新たな音楽的境地を築くことが、いかに大変であるかが思い知らされました。

バンドのメンバーが命を落とした場合、解散すれば良いのですが、彼らはその道は選びませんでした。
それはも、ビジネス的な意味合いだけでなく、キース・ムーンもジョン・エントウィッスルも、自身が命を落としたとしても、The Whoの解散を望んでいないことを、ピートもロジャーも痛い程に分かっていたからでしょう。
キース・ムーンもジョン・エントウィッスルも自身の死が、The Who解散の一因になったとしましたら、あの世で怒りを爆発していることでしょう。

The Whoは、現在ではロック・レジェンドと言われますが、"MAXIMUM AS & BS"を聴いてから、彼らを軽々しくロック・レジェンドと言えなくなってしまいました。
ロック・レジェンドと言われるまでに、ピートとロジャーは想像を絶する悲しみと苦しみを味わっていたからです。

私も、今後は軽々しく"ロック・レジェンド"というマスコミが作り出した言葉は使わないように思った次第です。

MAXIMUM AS & BS [5CD]
THE WHO
MCA RECORDS
2017-10-27

ジェネレーション・ベイベ〜♪

BBC Sessions












フジテレビ系列で毎週月曜20:00から始まる、今田耕司さんと山下智久さんが司会を務めるバラエティー番組、『ジェネレーション天国』が放送されてますが、私も時々観ています。
この番組は、60代以上をバナナ世代、40代をキウイ世代、20代をマンゴー世代と設定し、そのジェネレーション・ギャップを楽しむという趣旨のバラエティー番組です。
その、『ジェネレーション天国』の番組の中で、“ジェネレーション・ベイベ〜♪”というジングルが流れていますが、これはイギリスのロックバンド、The Who(ザ・フー)の
“My Generation”という曲です。
本当は“ my generation, baby”と歌っているのですが、番組は『ジェネレーション天国』なので、 “my”を外して、“generation, baby♪”と流しているのです。

実はこの曲、“歳を取る前に死にたい(I hope I die before I get old)”と歌っている曲なのです。
この曲の意味を知っている私としては、年配のタレントも多く出演する、『ジェネレーション天国』に使用して良いのかなぁと思ってしまいます。
しかし、まぁ正直な所、The Whoのファンの私としては、番組のジングルに使ってもらって嬉しいと思っています。

そして、実はThe Whoの曲は、TVやラジオのジングルにピッタリなバンドなのです。
上の写真の“BBC Sessions”でも、のっけから “My Generation”を替え歌にした、イギリスの国営放送であるBBCのジングルから始まります。
また、The Whoのアルバムでは、アルバム全体を、ラジオのジングル風に作った、
“The Who Sell Out”といったものまであるのです。
The Whoがジングル向きのバンドである理由は、アート・スクールでポップ・アートを学んだ、ソングライターのピート・タウンゼントが、絶妙なポップ感覚を持っているからであると考えられます。
あとはベースのジョン・エントウィッスル、ドラムのキース・ムーンといった現在でも、語り継がれる名プレーヤー達の確かな演奏技術が、放送業界でも充分使用可能なジングルとなったのでしょう。

ちなみに、“歳を取る前に死にたい”という歌詞を歌うボーカルのロジャー・ダルトリーは、69歳になっても、“My Generation”を歌い続けています。
そして、この曲をソングライティングした当の本人であるギターのピート・タウンゼントは、67歳になっても、ロジャー・ダルトリーのバックで“My Generation”のリフを弾き、コーラスを入れています。
本当に歳を取る前に亡くなったのは、32歳で他界したドラムのキース・ムーンだけなのです。
(ベースのジョン・エントウィッスルは、還暦間近の57歳で他界)

そう言えば、いまだにお元気な、ロジャー・ダルトリーとピート・タウンゼントの2人は、『ジェネレーション天国』的にはバナナ世代だなぁ。

BBCセッションズ+8(紙ジャケット仕様)
BBCセッションズ+8(紙ジャケット仕様) [CD]

私的に選ぶロックアルバム3選 その2

29日から引き続き、もしロックマニアの私が、個人的に大傑作だと思うロックのアルバムを3枚選ぶとしたら、何を選ぶだろうかと考えてみるシリーズの続きです。
やはり、私の感覚が音楽誌専門家の見解と、どう乖離しているか、参考にするために、あえてローリング・ストーン誌が選ぶオールタイムベストアルバム500の順位と併記して紹介していきます。

次に選ぶ素晴しいと思うロックアルバムば、ザ・フー(The Who)の“Who's Next” (フーズ・ネクスト)です。
ローリング・ストーン誌では、28位です。
なぜ、“Who's Next”というアルバムを選ぶかと言いますと、私が一番好きなバンドが
The Whoで、そのバンドの一番完成度が高いアルバムが“Who's Next” だからです。

実は日本では、なぜかThe Whoのファンが他の国と比べて、少ないことが有名?です。
ロック好きな年上の方と飲みに行くと、私が『フーが好きだ』と言うと、『なぜ、ストーンズじゃないんだ!』、『なぜツェッペリンじゃないのか!』と言われてしまうほどです。
私の好みからすると、ストーンズのR&Bっぽいノリの音より、フーの方が、もっとラウドでロックっぽい音なので好きなのです。
ツェッペリンはフーよりハードな音ですが、個人的な好みからすると、重たく感じてしまうのです。
更に、初期のフーの衣装が、モッズファッッションで決めているので、よりファッション性が高く、オシャレな印象があるので、ビジュアル面も含め、個人的にフーが好きなのです。

Who's next












“Who's Next”について簡単に説明すると、長いフーの全キャリア上、ソングライティング及び演奏テクニックが頂点の時に発表されたアルバムなのです。
特に有名な曲は、海外ドラマCSIのテーマ曲になり、ロンドンオリンピックの閉会式で演奏された“Baba O'Riley”(ババ・オライリー)です。

“Who's Next”の頃の、ソングライターのピート・タウンゼントの天才振りは素晴しく、1971年の段階で、“Baba O'Riley”のようなシンセサイザーをリズム楽器として使用して、現代のモダンなロックと遜色のないサウンドを作り上げていることです。
ピートだけでなくボーカルのロジャー・ダルトリー、ベースのジョン・エントウィッスル、ドラムのキース・ムーンのプレイ全てが素晴しい一枚です。

フーズ・ネクスト+7
フーズ・ネクスト+7

The Whoのピートとロジャー

最近、私が寝る前に聴く音楽はThe Whoの“Tommy”です。
アコースティックな響きが心地よく、CD1枚あたりの収録時間も長いからです。

ところでThe Whoは、殆どの楽曲をギタリストのピート・タウンゼンドがソングライティングしています。
“Tommy”もまたしかりです。
しかし、こと“Tommy”に関しては、ボーカルのロジャー・ダルトリーのイメージが、楽曲を凌駕して、結果的にロジャーのアルバムになっていると思うのです。
このアルバムは、いわゆるロック・オペラなのですが、ロジャーは主人公の“Tommy”に、なり切って歌っています。
“Tommy”は後に映画化されましたが、その主演もロジャーです。
先日、ソロ・アーティストとしてロジャーが来日しましたが、それも“Tommy”の再演でした。
歌はソングライターが書きますが、ボーカリストが元の歌のエネルギーを凌駕して歌うことは、時々みられる現象です。

ピートの曲を一番上手に、表現出来るボーカリストは、ロジャーだと思います。
ピートもボーカルを取り、ソロアーティストとしても、一定の成功も得ました。
ピートの声は繊細で鼻にかかった感じですが、典型的なロック調な曲で、シャウトが必要な場合は、ピートだと物足りなさを感じてしまいます。

天才的なドラマー、キース・ムーンが夭折し、技巧派のベーシスト、
ジョン・エントウィッスルも他界した今、ピートとロジャーの2人と、サポートのミュージシャンで、The Whoは活動を続けています。

そのような状況下で、The Whoのステージを観ると、ピートとロジャー、2人でやっとシンガーソングライターとして成立する関係なのだと納得してしまいます。
ロジャーはピートの曲の“声”なのです。

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The Who 命

今日はThe WhoのTシャツを着ています。
The Whoは好きというレベルではなく、“命”と言っても過言じゃないです。
はっきり言って、マニアです。
アルバムは、当然の如く全て揃えていて、1タイトルにつき2〜3枚は持っています。
日本盤だけでなく、本国イギリス盤やドイツ盤、といった変わり種や、アナログ盤、ダウンロード盤も揃えています。
これはコレクターの域ですねー。
The Whoは日本ではマニアが少ないので、話が合う人が居ないのが、もっぱらの悩みです。
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芸人ですか?

'60年代のイギリスのロックバンドの写真を見ると、優れたバンドはフォトジェニックな風貌を備えていることに気付きます。
ビートルズの写真は真面目かつ、お洒落な印象を与えます。
ローリング・ストーンズはダークで不良っぽい雰囲気の写真が多いです。
そんな、ビートルズやローリング・ストーンズに負けないオーラを放っているのが、ザ・フーです。

その風貌を一言で言うならば、『愉快そうな連中』ですね。
二枚目なのに背が低くて短足な男、やたら鼻がでかい男、やたらに丸顔な男、暗くて不気味な男と、まるでお笑い芸人のようです。

バンドをやっている若い男子は、古今東西を問わず、女の子にキャーキャー言われるのが常ですが、ザ・フーの場合は、そのルックスが災いしてか、ライブ会場は野郎ばかりだったそうです。

これが、ザ・フーの写真です。
向かって一番右が、二枚目なのに背が低いボーカルのロジャーダルトリーです。
この写真でも背の低さが分かります。
イギリス人なのに身長が、164cmしかありません。
右から2番目で白いジャケットを着ているのが、暗くて不気味なベースのジョン・エントウィッスルです。
この写真でも、なぜか沈鬱そうな表情です。
右から3番目の鼻がでかくて細面の男が、ギターのピート・タウンゼントです。
この写真ではなぜか眠そうな表情をしています。
そして、ジョーカーのようなコスプレをしている丸顔の男が、ドラムのキース・ムーンです。
この男は、明らかに芸人風情です。
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これが、ザ・フーがバラエティー番組に出演した時の映像です。(実は結構有名な映像なんですよ)
ほとんどコントですね。
ボーカルのロジャー・ダルトリーの衣装が、とってもオシャレです。
最後のオチの大爆発は、ドラムのキース・ムーンが、テレビ局のスタッフを賄賂で買収し、火薬の量を倍にしたため、大暴発したそうです。


一応、断っておきますが、ザ・フーはコミック・バンドではありませんよ。

The Kids Are Alright ザ・キッズ・アー・オールライト

Kids Are Alright

The Kids Are Alrightはロックバンド、The Whoのドキュメンタリーの題名です。
The Whoをことを知らなくても、The Kids Are Alrightを観ればたちまち彼らの事が分かります。

私はこのドキュメンタリーの世界感に大変な影響を受けています。
ロック・バンドのメンバーは気取っていたり、気難しかったりしますが、The Whoのメンバーはバラエティー番組のコントみたいにドタバタ喜劇を繰り広げています。

初めて観た時は、こんなロックバンドが世の中に存在したのかと目から鱗の思いでした。
それからこのドキュメンタリーの世界に夢中になりました。
この世界観はイギリス人らしい皮肉とユーモアに満ちています。

Kids Are Alright

また、彼らのステージアクションは凄まじく、特にドラムのキース・ムーンは、尋常でない程、激しくドラムを叩いています。
まさに命を削ってドラムを叩いていた事が分かります。

ギターのピート・タウンゼントによる楽器破壊のパフォーマンスも大量に収録されていますが、そのパフォーマンスを見て喜ぶか嘆くかで、この作品のが好きか嫌いか別れます。
興味ある方はDVDをご覧下さい。

※この記事は、2016年1月4日に投稿当時の原文を損なわない程度に修正を加えました。
上記の映像はDVDでご覧になれます。


Pictures Of Lily

邦題『リリーの面影』と題されたザ・フーの1967年の曲です。
Pictures Of Lilyは曲調やボーカルの声色は甘い感じですが、バックで流れるバンドの音はヘビーです。
その落差が、この曲の良い所で、凡庸なポップスに陥らずに済んでいます。
歌詞は男の子の自慰行為について歌っており、それもまたこのバンドの特色が出ていると思います。

ザ・フーというバンドは『思春期の少年』を描くことに長けたバンドで男の子達に絶大なる支持を受けていますが、女の子達の人気はサッパリというバンドです。
確かに女の子が、男の子の自慰行為の歌を聴いた所で、共感を得ることはありません。

1967年という年は、ロックやファッションにとって変革の年で、愛と平和を謳ったフラワームーブメントと呼ばれる流行がありました。
その『愛と平和』の時代にその歌詞の内容は異彩を放っています。

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バンドのソングライターであるピート・タウンゼントは、そんな世の中の潮流を分かった上でこの曲をレコーディングしている確信犯です。
曲やサウンドの雰囲気そのものは、フラワームーブメントの影響がみられますが、歌詞で他のバンドと差をつけています。

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この2年後に、ザ・フーはビートルズやローリング・ストーンズをもしのぐような巨大なスタジアム級のバンドに成長していきます。
この曲は後の大成功を予感させるような、ただ者ではオーラが漂う曲であると思います。
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