★絵描きの日記

加茂谷正俊のブログです。 絵画を中心に美術やっています。 公募展出展、グループ展や個展などもします。 2010年、2014年、2018年、2022年、富山国際現代美術展に参加。

トミー

三重苦の少年という寓話の『語り部』

Who's

ロジャー・ダルトリーの"Who's "Tommy" Orchestral" を聴き込みました。
これは、 簡潔に説明しますと、ロジャーのバンドがオーケストラと共演したアルバムです。
その曲目は、The Whoのロック・オペラの名作"トミー(Tommy)"です。

オーケストレーションはアレンジャー/作曲家のデヴィッド・キャンベル(David Campbell)が担当し、指揮とアルバムのプロデューサーとして、キース・レヴェンソン(Keith Levenson)が担当しています。
キース・レヴェンソンは過去に、"トミー"のミュージカル版を担当したロジャーとは旧知の間柄です。

また、ロジャーのバンドにThe Whoのソングライター/ギタリストであるピート・タウンゼントの弟、サイモン・タウンゼントが居ることもポイントとなっています。

レコーディングは複雑で、2018年の米ニューヨーク州べセルでのライブ音源の中から、オーケストラの部分だけ抜き取り、ブタペストでオーケストラの部分を再録しています。

さて、前置きが長くなりましたが、"Who's "Tommy" Orchestral"の感想ですが、バンドとオーケストラの音のバランスが、バンド中心で意外とロックな感じがします。
The Whoは、2017年のロイヤル・アルバート・ホールで"トミー"を再演していますが、ロジャーのボーカルは、その時に比して『歌』に専念していると思います。

まぁ、The Whoのライブは、いきなりピートがアドリブを入れたり、ロジャーも負けじとアドリブを入れたりするような戦場のようなライブですから、仕方ありません。
やはり、"Who's "Tommy" Orchestral"はロジャーのアルバムなので、ロジャーのボーカルに焦点が当たって当然なのです。

また、ピートの弟のサイモンが、ピートのパートを歌うことで、ぐっと雰囲気がThe Whoぽくなります。
本当に、こんなに声似た兄弟は居ないと思う位です。

一応、1970年の"Live At Leeds"の"トミー"とも聴き比べましたが、若き日のロジャーは、まるで三重苦の少年が憑依したように聴こえます。
現在のロジャーの歌声は、憑依したというよりも、三重苦の少年という寓話の『語り部』のように聴こえて来ます。
これは、あくまで私の個人的な感想ですが…。

ザ・フー『トミー』オーケストラル
ロジャー・ダルトリー
ユニバーサル ミュージック
2019-06-14

ロジャー・ダルトリーとトミー

TOMMY













今日は、ロンドンオリンピックの閉会式のトリを飾ったザ・フー(The Who)についての話です。
ザ・フーやトミー(Tommy)については、このBlogで散々書いてきましたが、お付き合いください。

近頃はザ・フーの名盤である、トミーを毎晩聴いて、寝る前の、おやすみの音楽にしています。
このアルバムは、寓話的なロックオペラを用いて人間の素晴らしさと愚かさを描いています。
そして、このアルバムは、不思議と年齢によって解釈や、聴いた時の味わいが変わっていきます。

私は最近、このアルバムの自身の評価では、ソングライターのピート・タウンゼンドへの興味から、ボーカルのロジャー・ダルトリーに興味が向けられています。
それは、トミーを良く聴くと分かると思いますが、ロジャーが、それ以前のアルバムに比べて非常に丁寧に歌っていることから分かると思います。
このアルバムを聴くと、ピートはただのソングライターで、それを歌というツールで、自分をトミーに化身させて、トミーになり切ったのは、ロジャーなのだと納得してしまいます。
このトミーは後に映画化され、ロジャー・ダルトリーが主演しますが、
だからこそ、映画トミーの主役に抜擢されたのだと思います。
昨年、ロジャーがソロ公演でトミーの再演で来日したことも記憶に新しいです。

トミー
トミー

ロジャー・ダルトリーが!

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私が愛してやまないロックバンド、ザ・フー(The Who)のボーカリスト、
ロジャー・ダルトリー(Roger Daltrey)が来日するそうです。
4/23(月)〜4/28(土)まで東京国際フォーラムホールA、神奈川県民ホール、兵庫のアルカイックホールの3カ所でライブをするそうです。
ライブの内容はザ・フーの名作であるロック・オペラ“トミー(Tommy)”を再演するということです。
これは行かなければ! 
私のロック中毒、ライブ中毒は、いつになっても治りません。
写真は'70年代の若き日のロジャー・ダルトリーです。

ロックオペラ・トミー

TOMMY

トミーは以前、ブログで紹介したThe Whoの4枚目のアルバムで、1969年にリリースされました。
当時はまだ珍い2枚組でした。
ロックオペラと言う通り、ストーリーがあります。
簡単に言うと、三重苦の少年がピンボールのチャンピオンになっり、やがて人々の不評を買い没落していくという内容です。

このアルバムには深い病理が隠されています。
いじめや幼児虐待など考えるだけで、ぞっとする歌を歌っています。
1969年には、あらかたメッセージ性の強い曲は出回り尽くしていたと思いますが、リリースされた当時は皆ビックリしたと思います。
というか、何をやっているか理解出来なかった人が大部分だと思います。

でも、このアルバムは本国イギリス以上にアメリカで大ヒットしました。
The Whoは60年代半ば、イギリスでシングル中心に売れていましたが、ビートルズやローリング・ストーンズの後ろを行っていましたし、アメリカではセールスでは大苦戦を強いられました。
それはこのバンドの本質が、レコードではなくライブを中心に活動していた事に他なりません。

ライブは窓のガラスを割る程の爆音と、楽器を破壊する過激なパフォーマンスで有名でした。
当時、これ以上現代的なバンドはなかったはずです。
電気的に、必要以上に大きな音を出すバンドは戦前はなかっただろうし、楽器を破壊するパフォーマンスもなかっであろうと思われます。

それを実行するには、爆音を出す電気的技術と、同じ楽器を大量生産する技術など工業事情が影響します。
工業化があまり進んでいない時代は、皆生きていく事に精一杯で余計な事を考える余裕もないし不便な分、お互いに労って助け合ったりします。
しかし、工業化が進むと便利になり助け合う必要もないし、あれこれ余計な利己主義的な発想も浮かびます。

そんな中でいじめや幼児虐待などの深刻な問題を歌うトミーがリリースされました。
トミーが複雑な現代の病みを抱えるアメリカで受け入れられたのは分かる気がします。
トミーは1975年に映画化され、1993年にブロードウェイ・ミュージカル化されました。
1969年当時と比べ、 アジア諸国が工業化するなど、その病理は世界中に蔓延していきました。
人間に便利な文明社会が続く限り、トミーは永遠に普遍的なストーリーになりそうです。

※この記事は2015年10月26日に、投稿当時の原文を損なわない程度に修正を加えました。


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