The Whoマニアを自称する私ですが、そんな私でもピート・タウンゼントのソングライティング能力に驚いた2曲があります。
その2曲が、"A Quick One (While He's Away)"と、"Baba O'Riley"です。
もちろん、数多くのヒット・シングルの名曲も良いのですが、 "A Quick One (While He's Away)"と"Baba O'Riley"は、シングルとして売るには全く似合わない、完全なるアーティスティックな曲だからです。
"A Quick One (While He's Away)"は、ピートがインタビューで、セカンド・アルバムで3曲分の空きが出来、プロデューサー兼マネージャーのキット・ランバートから3曲繋げた曲を書くように言われて書いたこと答えています。
無理難題ですが、ちゃんと出来てしまう所がピートの凄い所ですね。
これが、The Whoのロック・オペラ路線の源流となって行きます。
レコーディングされ、リリースされたのが、1966年である所が凄いです。
当時はビートルズも、このような曲を発表してない、唯一無二のピートの曲だと思います。
The Whoでは、ありがちなパターンですが、スタジオ盤よりライブ・バージョンの方が臨場感があって良いです。
特に、ロックンロール・サーカスのライブ・バージョンは有名です。
"Baba O'Riley"に関してましては、ピートの超人的な天才振りが発揮され、常人には、どうやってソングライティングされたのか、分かりません。
冒頭のシンセサイザーのループからして、もはや前衛的です。
ピートが信仰しているインドの導師、ミハー・ババからヒントを得ていると言いますが、なぜこのような曲になったのか、皆目見当がつきません。
"Baba O'Riley"も、1971年にリリースされていて、当時は画期的だと思います。
"Baba O'Riley"はスタジオ・バージョンで完成度は高いですが、ライブでもハイライトの曲と言えます。
後年、海外ドラマCS Iのテーマ曲になったり、ロンドン・オリンピックの閉幕式でパフォーマンスされたり、すっかりThe Whoの代表曲になってしまいました。
私もライブで聴きましたが、とってもモダンなロック・ナンバーでした。
ピートがソングライティングした曲は、きちんとThe Whoのライブで演奏可能な曲である事も特筆すべきです。
逆説的に言いますと、ライブでスタジオ盤以上のパフォーマンスが可能な The Whoの演奏技術が素晴らしいです。
"A Quick One (While He's Away)"と、"Baba O'Riley"をカヴァー出来るバンドなんて、そうそう居ませんからね。
The Who
UMC/Polydor UK
2020-03-06