★絵描きの日記

加茂谷正俊のブログです。 絵画を中心に美術やっています。 公募展出展、グループ展や個展などもします。 2010年、2014年、2018年、2022年、富山国際現代美術展に参加。

ブライアン・フェリー

煙が目にしみる

Another Time Another Place












コンビニの外の隅に設置してある喫煙所で、喫煙者が肩身狭く喫煙している光景は、もうすっかり馴染みの光景になりました。
私は、最初から全く喫煙しない、非喫煙者です。
昔は喫煙者が、日常茶飯事ウロウロしていたので、副流煙に慣れていて気になりませんでしたが、今は公の場で喫煙する場所が無くなってしまい、すっかり苦手になってしまいました。
特に飲食店では、副流煙が漂ってくると、もう駄目です。

そんなコンビニの喫煙所でマスクをした女性が、マスクを外して煙草を吸い始めた光景を見て、複雑な心境になりました。
マスクは花粉症対策なのか、風邪をひいているのか、はたまた風邪の予防なのでしょうでしょうか?
この女性は、健康に気を配っているのか、不健康なのか、どちらなのでしょうか?

その光景を見て、ふと思った事は、喫煙者は、PM2.5とか放射性物質などが、体に悪いと騒ぎ立てても全く説得力がないということです。
自ら発癌性物質を、好んで吸引しているばかりでなく、周囲の人にも副流煙で受動喫煙させて、まき散らしているからです。
少なくとも、反原発論者や反原発デモをする人は、非喫煙者でないといけません。
放射性物質による、人類の現代および未来の健康を憂慮して、『原発いらない!』、『再稼働反対!』と言っている筈なのに、自ら発癌性物質を、まき散らしていては、論理のつじつまが合いません。

“煙が目にしみる(Smoke Gets In Your Eyes)”は、有名なジャズのスタンダードナンバーですが、ロック畑のブライアン・フェリーが、1974年のアルバム“Another Time, Another Place” (写真)で、情感たっぷりにカヴァーしています。
ロック・ミュージシャンが、長髪にデニム姿でオリジナル曲を演奏するのが常識だった’70年代において、写真のようなタキシード姿で、カヴァーばかり歌うブライアン・フェリーのスタイルが、当時は逆にショッキングだったらしいです。
実際私も、このアルバムを初めて聴いた時は驚きました。
タキシード姿でロックを歌う!
しかも、スタンダードナンバーばかりのカヴァーを歌う!
まさに逆転の発想。
ブライアン・フェリーの着眼点が、凄いです。

そう言えば、この“Another Time, Another Place”のジャケットでも、ブライアン・フェリーは、左手に煙草片手にプール・サイドでポーズを取っています。
もし、その場に私が居合わせたとしたら、『煙が目にしみる!』と思ったことでしょう。

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ROXY MUSIC

THE THRILL OF IT ALL

ロキシー・ミュージックのヴィジュアル・ヒストリーDVD、“THE THRILL OF IT ALL”を観ました。
実はロキシー・ミュージック、特に中心メンバーのブライアン・フェリーには、芸術的に大きな影響を受けました。
音楽から芸術的影響を受けたという事は、妙だと思うかもしれません。
しかし、ロキシー・ミュージックの秀逸なヴィジュアルイメージが、芸術的影響を受けたと言えば分かると思います。

例えば、ロキシー・ミュージックのアルバムのジャケットは、美女達がポーズを決め、まるでファッション雑誌の1ページのようです。
写真の、DVDのアートワークを見ても私が影響を受けている事が分かると思います。
また、初期の頃の彼らの衣装を見ると、いかがわしいゲイバーに間違って入ったような感覚に陥ります。

そんな強烈なヴィジュアルイメージは、ブライアン・フェリーによる所が大きいと思います。
ブライアン・フェリーは大学で、ファイン・アートを学び、女子高で美術教師し、陶芸の個展も開いた生粋の芸術家です。

特に素晴らしいと思ったのは、彼が書いた“Re‐make/Re‐model”という曲です。
この曲は、現代芸術の基本理念である、『既製品をリメイクして、作品として、再提示する』という理論を歌にしてしまいました。
世界広しといえども、芸術論を歌にしてしまったのは、彼だけです。この、『既製品をリメイクして、作品として、再提示する』という方法は、アンディ・ウォホールなんかも、マリリン・モンローの写真をリメイクして、作品として提示している例で分かると思います。
廃品で作ったオブジェもこの理論で説明できます。

“Re‐make/Re‐model”が素晴らしいのは、理論だけでなく、聴いた事があるロックのフレーズを随所に散りばめられていて、リメイクを実践している所です。
この曲が収録されたロキシー・ミュージックのファーストアルバムは、私が大好きなアルバムです。DVDでも、前述の、いかがわしいゲイバーに間違って入ったような感覚に陥る衣装を着て演奏する、初期の映像が好きです。
そういった、いかがわしさが、このバンドには似合います。

余談ですが、私が洋服集めに奔走するようになったのは、彼らの影響です。

※この記事は2016年4月5日、投稿当時の原文を損なわない程度に修正致しました。

ヴィジュアル・ヒストリー 1972-1982 [DVD]
ロキシー・ミュージック
EMIミュージック・ジャパン
2008-01-30

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