★絵描きの日記

加茂谷正俊のブログです。 絵画を中心に美術やっています。 公募展出展、グループ展や個展などもします。 2010年、2014年、2018年、2022年、富山国際現代美術展に参加。

マレーヴィチ

アヴァンギャルド考

私は、元来保守的な人間ですが、こと文化的な事柄になると、途端にアヴァンギャルド志向になります。
アートだけでなく、ファッションや音楽、文芸など、この志向の上にあります。
私のルックスや文化面に関してはアヴァンギャルド志向なのに対して、私のパーソナリティーは、拍子抜けするほど保守的です。

私は中学生や高校生の時は、毎日コツコツと予習復習をやって学校へ行っていたので、試験前にはさほど慌てないタイプでした。
いわゆるコツコツ型の典型です。
このBlogも、6年以上に渡り、きちんと毎日更新されているので、いかに私がコツコツ型の人間か、ご理解頂けることでしょう。

保守的環境で育った保守的な人、それが私なのですが、なぜ文化的にはアヴァンギャルド志向になるのか考えると、まさに自問自答の日々になります。
でも、一つ言えることは、私が仮に文化面でも保守的だったら、かなりつまらない人間になっていたことでしょう。

私の個人的問題だけでなく、ひょっとしたら、アヴァンギャルドな文化が生まれる背景には、保守的な土壌が必要なのかも知れません。
ロシア・アヴァンギャルドの代表的な作家、マレーヴィチは、あまりアヴァンギャルドな印象がないウクライナ出身です。
最先端のデザインを切り開いた美術学校、バウハウスはドイツのワイマール地方にあります。
ドイツ人も、ドイツ語のいかめしい発音も含めて、どこか硬いイメージがあります。
デカダンス文学の代表的な作家、オスカー・ワイルドとその挿絵を描いたビアズリー、最先端のファッションや音楽を生み出す国は、保守的な国の代名詞と言われるイギリスです。

保守的な環境で生活しているゆえ、無意識的に固定概念からはみ出したような、アヴァンギャルドな表現文化が生まれるのでしょう。
アヴァンギャルドと保守的な環境は、ひょっとしたら、コインの裏表のような表裏一体の現象なのでしょう。
下の写真は2008年に渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで開催された『青春のロシア・アヴァンギャルド』のポスターからマレーヴィチの『農婦、スーパーナチュラリズム』という作品です。

マレーヴィチ




青春のロシア・アヴァンギャルド

 渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで開催中の『青春のロシア・アヴァンギャルド』に行って来ました。この展覧会は、個人的に楽しみにしていた展覧会です。あまり知られていませんが、ロシアは革命前後の時代(1910年頃〜1934年)は前衛芸術の最先端を走っていました。1934年にスターリンによって粛正が実行されるまで約20年間、そんな時代が続きました。この時代のロシア・アヴァンギャルドが再評価されたのは、近年ロシアがBRICsとして経済発展を成し遂げてからです。それ以前は、一部の愛好家や美術評論家ぐらいしか認知されておらず、唯一シャガールだけがアメリカに亡命した事と、長生きしたおかげで知られているぐらいでした。マレーヴィチに至っては、ソビエト連邦の時代は封印され非公開にされていました。今回の展覧会は、モスクワ市近代美術館所属の、そんな時代の、最先端の作品を一同に集めて展示されています。     この展覧会で圧巻だったのは、マレーヴィチの作品群です。マレーヴィチだけでなく、ロシアの作家は、独特の感性を持っていて、どこか宇宙的、近未来来的で数十年後のソ連の宇宙開発を連想してしまいます。写真の展覧会のポスターになった作品も、マレーヴィチの『農婦、スーパーナチュラリズム』という作品です。農婦という労働者を題材にしている所が、ロシア人らしさを感じます。この作品の他にも、マレーヴィチは彼独自のシュプレマティスムという、十文字や無地のような無駄を省いた究極の抽象画が展示されてます。この、マレーヴィチのシュプレマティスム絵画の何とエネルギッシュなことでしょうか!
 『青春のロシア・アヴァンギャルド』は、8月17日まで、渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで開催中です。cb1196e3.jpg
気まぐれギャラリー
『シャキーンとした猫』
2019年

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