12月7日、The Whoのニューアルバム、"Who"がリリースされました。
The Whoの新しいアルバムがレコーディングされるのかどうか、ボーカリストのロジャー・ダルトリーであっても予想が付きません。
ソングライターでギタリストのピート・タウンゼントが、新曲を書かないと、事が進まないからです。
2006年にリリースされた前アルバム、"Endless Wire"から13年間の間にロジャーは、70歳を過ぎてから、どんどんアーティスト性を高めました。
ウィルコ・ジョンソンとコラボレーションした2014年の"Going Back Home"はUK3位という記録を収め、2018年にリリースしたソロアルバム、"As Long as I Have You"はUK8位に達しました。
そのようなロジャーの活動を見て、ピートは少なからず触発は受けているかと思われます。
"Who"ですが、バンドの相棒のロジャーであっても、予想が付かないピートの創作活動の中で突如、The Whoのアルバム用に曲を大量に書いて来たことでレコーディングが進みました
事前にアルバムのリリース前に、既に冒頭の3曲がリリース済みだったので、私の中にすんなりと入って来ました。
前アルバム、"Endless Wire"にと比べて大きく違いますのは、ドラムのザック・スターキーがドラムを叩いている曲が多いことです。
("Endless Wire"の頃は、ザックはオアシスの活動にかかり切りで、1曲しか参加せず)
なので、いつものツアーのメンバーであるザック・スターキーと、ベースのピノ・パラディーノのグルーヴを堪能出来ることです。
これまでライブ盤で聴いていたグルーヴが、スタジオ盤でクリアに聴くことが出来ます。
そして、アルバムの特徴としましては、ソングライター・ギタリストのピート・タウンゼントの曲が粒ぞろいであることです。
ピートが得意とするロック・オペラな曲は、1曲もなく、どの曲もシャッフルで再生したとしても『完成型』であることです。
それは、ストリーミング配信を念頭においたことかと思われます。
近年アーティスティックな活動をするロジャーのボーカルは、まるで黒人ブルース・シンガーがような渋い声を出したり、曲によっては年齢を感じさせない高いキーで歌っていたりと、しなやかなボーカルを披露しています。
総括致しますと、"Who"は2019年という時代を反映したロックアルバムだと思います。
決して、過去の”懐かしい芸風”を再現せず、現代のThe Whoのツアー・メンバーのサウンドを披露し、時代を反映したピートが書いたLylicsも刺激的です。
そして、当世風の凝ったサウンド・メイキングも特筆すべきことだと思います。