The Whoのシングル、"I Can See for Miles"(邦題『恋のマジック・アイ』)は、聴けば聴くほど凄い曲です。
まずはヒットチャートですが、英国では10位と初期のThe Whoのシングルとしては低めですが、全米では9位となり、米国でのThe Whoのシングルの最大のヒット曲となりました。
"I Can See for Miles"で、最も凄い点は、そのサウンドです。
一聴しますと、普通の'60年代ロックに聴こえなくもないですが、さにあらずです。
ギターやドラムが何重にもオーバーダビングされているのです。
それは、爆音で再生すると分かります。
ボリュームだけでなく、かなりラウドな曲に感じると思います。
こんなにラウドな曲なのに、ロジャー・ダルトリーのボーカルは、澄んだ高音で歌っています。
絶叫ボーカルではなく、実にポップな歌声で歌っているのです。
The Whoの曲はスタジオ盤より、ライブ演奏の方が良かったりする事が多いですが、オーバーダビングのため、ライブ演奏が困難で、ライブ演奏したとしてもスタジオ盤の方が良いという稀有な曲です。
そんな訳で、"I Can See for Miles"は、ソングライターのピート・タウンゼントが作曲したシングルでも屈指の名曲だと思います。
全英チャートで振るわなかった理由は謎ですが、シングルがリリースされたのが、1967年9月18日の日付がポイントだと思います。
その翌日の同年年9月19日に、ビージーズの"マサチューセッツ"がリリースされ、全英1を獲得したからです。
当時の英国の大衆は、The Whoのラウドなシングルよりも、ビージーズのソフト・ロック路線のバラードをチョイスしたのでしょう。