★絵描きの日記

加茂谷正俊のブログです。 絵画を中心に美術やっています。 公募展出展、グループ展や個展などもします。 2010年、2014年、2018年、2022年、富山国際現代美術展に参加。

村上隆

’60年代アメリカの美術雑誌

大宮政郎先生が最近、’60年代アメリカの美術雑誌を偶然、自宅から然発見したので、お借りしてきました。
アートも音楽も’60年代が一番面白いような気がします。
なぜなんでしょうかね?
とにかく、美術史的には一級品な資料だと思います。

本日紹介するのは、“ARTFORUM”の1967年5月号です。
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“ARTFORUM”の表紙には$1.5と書いてあったので、最近のレートにしたら、¥135でしょうか?
大宮先生が購入した時は、$1が¥360だったので、¥540で買ったことになります。
でも、現在は当時より円高になったとしても、当時の物価で¥540は高かったに違いありません。
(当時の日本では、かけそば1杯¥40〜80が相場だったそうです)
ちなみに、現在のアメリカの美術雑誌“Art in America”は$5.00(最近のレートでは約¥450)、日本の美術雑誌『美術手帳』は¥1600です。
『美術手帳』高いな…。
まあ、『美術手帳』は、ページ数が多いから仕方ないかな…。
この値段を見ると、’60年代に比して、日米共に物価が上昇し、インフレが進行していることが分かります。

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“ARTFORUM”の1967年5月号に掲載されていた、一番素晴らしい作品は、ロイ・リキテンシュタインの“Modern Painting with Bolt, oil Manga”('66)です。
目が醒めるようなカラフルな原色ですが、これが油絵だからびっくりです。
画面を拡大して見ると印刷物のように、丸いドットで画面が構成されていることが分かります。
(ぜひ写真を拡大して見て下さい)
何よりも、’60年代当時のアメリカで、漫画が“Manga”と英語になっていたことが驚きです。
極端な言い方ですが、ロイ・リキテンシュタインは、21世紀の現代から見ると、村上隆の走りのようにも見えます。

現代アートビジネス

アスキー新書の、小山登美夫氏の『現代アートビジネス』を読みました。
小山登美夫氏は、ギャラリストという職業の方です。
ギャラリストとは、馴染みのない職業かも知れませんが、平たく言うと画商です。
しかし、普通の画商と違って、プロデューサー的な役割が大きく、アーティストと苦楽を共にして個展を企画、運営して作品の売買を成立させる職業です。
小山登美夫氏は主に現代アートを中心に活動しています。
氏の最大の功績は、村上隆さんと奈良美智の才能にいち早く気付き、世に送り出したことです。
この著書によると村上隆さんと奈良美智さんは、全く正反対の方だそうです。
村上隆さんは、会社を立ち上げて活発なマネージメントするタイプの作家ですが、奈良美智さんは、露出を抑えて、ストイックに自分の世界を追求するタイプだそうです。
本文中、私が一番興味深かった箇所は、村上隆さんが冗談混じりに、奈良美智さんに、『奈良さんも広告とかどんどんやって、1億とか2億でも稼げばいいのに!僕がマネージメントしてあげるよ』と言ったのに対して、描きたい物しか描かない奈良美智さんは、興味を示さなかったことです。
ちょっとミーハーな箇所に興味を持ちましたが、本当にこの二人が対照的である事を伺わせるエピソードです。
海外では、日本の現代アートを『クールジャパン』と呼ばれて、大流行しているのに、日本では美術館の資金不足などで認知されていない事も書かれています。 私の作品も、イマドキな作風(意図的ではなく、気付いたらそうなっていた)なので、アメリカ人が観たらどう思うか気になります。

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芸術起業論

村上隆氏の『芸術起業論』を読みました。
アート野郎としては、同意できる内容もあれば、耳が痛い話もありました。
文章は、まるで村上氏の言葉を、そのまま録音して活字に起こしたような感じがしました。
だから、文体はボヤキや呟きや文句のような印象があります。
しかし、現代の日本のアートシーンの現状をズバッと言い切っている所は、さすがです。
日本には、美術評論するインフラが揃っていないと書いてありましたが、その事実は、私も常日頃感じていたことです。
『なぜ、日本のアートシーンはしょぼいのか?』という掘り下げは、みんな薄々気付いていても、誰も言わなかったことが、しっかり書いてあります。
それは、どんな美術書や美術雑誌にも書いてない楽屋オチのような内容です。
グループ展の仲間が居酒屋で話すグチが、ついに活字になった感じがします。
また、氏が主張する作品でお金を儲けることに、やましい気持ちはないという主張は、はっきりし過ぎて痛快です。
この著書全体からは、怒りが満ちていて、アート野郎としては、村上氏に叱られているような気分になります。
でも、村上氏の言うことは、もっともなので、氏の言葉で実現可能な部分は、今後の芸術活動の参考にさせて戴こうと思っています。
村上氏の言葉を全部実践することは、もう1人村上隆が居ないと無理ですねぇ…。

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GRADUATION

KANYE WEST(カニエ・ウエスト)の新作、“ GRADUATION”を聴きました。カニエ・ウエストはプロデューサー出身の方ですが、私の好きなヒップホップアーティストの1人です。いつも、繊細でセンスの良いトラックとアートワークで私を魅力します。カニエ・ウエストはヒップホップアーティストなので、当然の如く黒人ですが、いつも可愛いクマさんの被り物を被って登場します。また、CDのジャケットに必ず、可愛いクマさんを登場させます。ヒップホップのアートワークは、基本的にグラフィティ系だったり、ヒップホップファッションで睨みをきかせたラッパーだったりする場合が多いですが、クマさんのアイデアは目から鱗です。私もカニエ・ウエストとの出会いは、クマさんのジャケットが可愛くてジャケ買いして、聴いたら良かったからです。まあ、プロデューサー上がりなので、顔を出さずに裏方に徹したいという事なのでしょう。今回はそのクマさんのアートワークを村上隆が手掛けています。これが非常に可愛く出来て部屋にあるだけでお洒落になります。村上隆さんは、私も大好きな芸術家なのですが、その解説はまたの機会にしたいと思います。→続くd7ed837c.jpg
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