★絵描きの日記

加茂谷正俊のブログです。 絵画を中心に美術やっています。 公募展出展、グループ展や個展などもします。 2010年、2014年、2018年、2022年、富山国際現代美術展に参加。

TheWho

The Whoの"アイ・キャン・シー・フォー・マイルズ"は凄い曲!

The Who Sell Out

The Whoのシングル、"I Can See for Miles"(邦題『恋のマジック・アイ』)は、聴けば聴くほど凄い曲です。

まずはヒットチャートですが、英国では10位と初期のThe Whoのシングルとしては低めですが、全米では9位となり、米国でのThe Whoのシングルの最大のヒット曲となりました。

"I Can See for Miles"で、最も凄い点は、そのサウンドです。
一聴しますと、普通の'60年代ロックに聴こえなくもないですが、さにあらずです。
ギターやドラムが何重にもオーバーダビングされているのです。

それは、爆音で再生すると分かります。
ボリュームだけでなく、かなりラウドな曲に感じると思います。

こんなにラウドな曲なのに、ロジャー・ダルトリーのボーカルは、澄んだ高音で歌っています。
絶叫ボーカルではなく、実にポップな歌声で歌っているのです。

The Whoの曲はスタジオ盤より、ライブ演奏の方が良かったりする事が多いですが、オーバーダビングのため、ライブ演奏が困難で、ライブ演奏したとしてもスタジオ盤の方が良いという稀有な曲です。

そんな訳で、"I Can See for Miles"は、ソングライターのピート・タウンゼントが作曲したシングルでも屈指の名曲だと思います。

全英チャートで振るわなかった理由は謎ですが、シングルがリリースされたのが、1967年9月18日の日付がポイントだと思います。
その翌日の同年年9月19日に、ビージーズの"マサチューセッツ"がリリースされ、全英1を獲得したからです。

当時の英国の大衆は、The Whoのラウドなシングルよりも、ビージーズのソフト・ロック路線のバラードをチョイスしたのでしょう。






The Who Sell Out [Super Deluxe Edition]
The Who
UMC / Polydor
2021-04-23

The Whoのハイド・パークのライブを聴きたくなった日

Live In Hyde Park

18日は何気に、The Whoの"Live In Hyde Park"が無性に聴きたくなりました。
この"Live In Hyde Park"は、ドラマーのザック・スターキーと、ベーシストのピノ・パラディーノというリズム・セクションが完成したライブだと思ったからです。

聴いてみると、やはり素晴らしいです。
ザック・スターキーのドラムは、キース・ムーンのドラムと父親のリンゴ・スターのドラムのテイストが混ざった様に感じます。
ピノ・パラディーノのベースは、音色もフレーズも美しいです。

オリジナルのメンバーである、ボーカルのロジャー・ダルトリーと、ギターのピート・タウンゼントは、当時は70歳でしたが、バンドのサウンドは、とにかく若々しいです。
動画を観ますとサウンドの若々しさと、2人の年齢の落差を感じる事が出来ます。

このバンドのサウンドを聴きますと、若いオルタナ系のバンドの演奏を連想してしまいます。
それは曲そのものが時代を超越したクオリティの高さである事と同時に、バンドのメンバーの演奏の力量に他なりません。

特にピノ・パラディーノは、最近のThe Whoのライブには参加していないので、余計に"Live In Hyde Park"の音源は貴重であると感じています。




Live in Hyde Park
The Who
Eagle Rock Ent
2015-11-20

The Who "ウィズ・オーケストラ・ライヴ・アット・ウェンブリー"の感想

The Who With Orchestra: Live At Wembley

爆音ライブで有名なThe Whoですが、オーケストラと共演すると、どうなるものか、一抹の不安を感じます。
しかし、それには布石があって、ボーカルのロジャー・ダルトリーが、自身のソロツアーで、2018年に各地のオーケストラと共演するツアーが行われていました。

そして、2019年にThe Whoがロジャーのソロツアーと同様の手法で、各地のオーケストラと共演する
"Moving On! Tour"が始まりました。
オーケストラの指揮者は、ロジャーのツアーと同じキース・レヴェンソンが務めました。

そして、この"The Who With Orchestra: Live At Wembley" は、2019年7月6日のロンドンのウェンブリー・スタジアム公演をライブ・レコーディグした作品です。
共演しているオーケストラはイゾベル・グリフィス・オーケストラです。

ちなみに、イゾベル・グリフィス・オーケストラ(Isobel Griffiths Ltd | Orchestra Contractors)を調べますと、イギリスで、007シリーズなどの映画やポール・マッカートニーなどのミュージシャンなどと共演経験する幅広い分野で活躍するオーケストラであるようです。

前置きが長くなりましたが、この"The Who With Orchestra: Live At Wembley" を聴きましたら、バリバリにロックなライブ盤で、私の不安は払拭されました。
ギターのピート・タウンゼントは、ヘヴィーなギターを弾いていますし、何よりもドラムのザック・スターキーがパワフルなドラムを叩きまくっています。
ベースは、今回はピノ・パラディーノではなく、ロジャーのバンドのベーシストであるジョン・バトンが弾いています。

あくまで、The Whoの爆音演奏が主体でオーケストラは、BGM的にクールに控えめに演奏されています。
そして、オーケストラのアレンジが秀逸であったのは、Quadrophenia収録曲でした。

加えて、当時まだ発売されていなかったアルバム"WHO"の中から、"Hero Ground Zero"と"Ball And Chain"がという新曲が演奏されている所も特筆すべき事です。

最新のライブ盤であるためか、音質は凄く良いです。
また、ボーカルのロジャーの声の調子が非常に良く、とても70代を超えた老人の声に聞こえない所が凄いです。

そう思っていましたら、プロデュースは、ロジャー・ダルトリー、キース・レヴェンソン、リチャード・ウィッタカーが務めていました。
プロデュースにピート・タウンゼントが関わっていないのは、珍しいと思いました。

四重人格は『悩めるロック・アルバム』!

Quadrophenia

今日は、気分で久し振りに、The Whoの"Quadrophenia"(四重人格)を聴きました。

なぜThe Whoマニアの私が、久し振りに"Quadrophenia"を聴いたのかと言いますと、聴くと悩んで考え込んでしまうからです。
数あるThe Whoのアルバムでも、"Quadrophenia"は、つい飛ばして聴いてしまうのです。

今日は、そんな『悩めるロック・アルバム』である"Quadrophenia"に、勇気を持って向き合っています。
曲調とLyricsの内容はシビアですが、The Whoのアルバムの中でも、最も凝ったサウンド作りをしています。

私が言うまでもなく、"Quadrophenia"は間違いなく、名盤であると思います。



Quadrophenia
The Who
Polydor
1996-05-07



私が好きなThe Who、ポール・ウェラー、マイルズ・ケイン!

MY GENERATION / LTD.ED

私が好きなバンドを挙げるとしますとThe Who、ポール・ウェラー、マイルズ・ケインです。
この3者は何度もこのBlogで取り上げているので、知っている方も多いと思います。

まずは、The Whoですが大ファンなので全盛期のアルバムは全て好きです。
しかし、ファースト・アルバムはThe Whoのサウンドやソングライティングの原点だと思い、気が付いたらよく聴くアルバムになっていました。
特に"The Kids Are Alright"は、私が10代の頃から大好きな曲です。



Heavy Soul

次にポール・ウェラーですが、長い活動期間に多数のアルバムをリリースしています。
ザ・ジャム、スタイル・カウンシルとしても活動しましたが、私はソロ活動の時代が一番好きです。

そのポール・ウェラーのソロ・アルバムで、一番好きなアルバムが"Heavy Soul"です。
タイトル通り、サウンドがエッジを効かせていて、ポール・ウェラーのエレクトリック・ギターのサウンドを存分に楽しめるアルバムとなっています。
"Peacock Suit"は、その"Heavy Soul"に収録されている代表的な1曲です。



Don't Forget Who You Are

マイルズ・ケインは、その活動初期から注目し、その動向を追っているアーティストです。
現在、30代半ばのマイルズ・ケインですが、繊細そうな若き日から、どんんどん逞しくなって行き、今は大御所なアーティストと共演するまで成長までになりました。

マイルズ・ケインで一番好きなアルバムは、"Don't Forget Who You Are"です。
このアルバムで、ポール・ウェラーなどUKの大物アーティストと曲を共作するなど、本当に努力を伺い知ることが出来る力作のアルバムです。

収録曲は好きな曲ばかりですが、タイトル曲の"Don't Forget Who You Are"が、聴いていまして心地良くなって行きます。



私が好きなThe Who、ポール・ウェラー、マイルズ・ケインの共通点は、モータウンに影響を受けたギター・ロックを演奏することだと思います。
そんなモッズなアーティスト達が私は好きです。

My Generation (mono)
Who
Polyd
2012-11-16



Heavy Soul
Weller, Paul
Universal Int'l
1997-08-05



Don't Forget Who You Are
Kane, Miles
Colum
2015-08-08

The Whoのピート・タウンゼントのソングライティング能力に驚かされた2曲

Kids Are Alright

The Whoマニアを自称する私ですが、そんな私でもピート・タウンゼントのソングライティング能力に驚いた2曲があります。
その2曲が、"A Quick One (While He's Away)"と、"Baba O'Riley"です。
もちろん、数多くのヒット・シングルの名曲も良いのですが、 "A Quick One (While He's Away)"と"Baba O'Riley"は、シングルとして売るには全く似合わない、完全なるアーティスティックな曲だからです。

"A Quick One (While He's Away)"は、ピートがインタビューで、セカンド・アルバムで3曲分の空きが出来、プロデューサー兼マネージャーのキット・ランバートから3曲繋げた曲を書くように言われて書いたこと答えています。
無理難題ですが、ちゃんと出来てしまう所がピートの凄い所ですね。
これが、The Whoのロック・オペラ路線の源流となって行きます。

レコーディングされ、リリースされたのが、1966年である所が凄いです。
当時はビートルズも、このような曲を発表してない、唯一無二のピートの曲だと思います。
The Whoでは、ありがちなパターンですが、スタジオ盤よりライブ・バージョンの方が臨場感があって良いです。
特に、ロックンロール・サーカスのライブ・バージョンは有名です。





"Baba O'Riley"に関してましては、ピートの超人的な天才振りが発揮され、常人には、どうやってソングライティングされたのか、分かりません。
冒頭のシンセサイザーのループからして、もはや前衛的です。
ピートが信仰しているインドの導師、ミハー・ババからヒントを得ていると言いますが、なぜこのような曲になったのか、皆目見当がつきません。
"Baba O'Riley"も、1971年にリリースされていて、当時は画期的だと思います。

"Baba O'Riley"はスタジオ・バージョンで完成度は高いですが、ライブでもハイライトの曲と言えます。
後年、海外ドラマCS Iのテーマ曲になったり、ロンドン・オリンピックの閉幕式でパフォーマンスされたり、すっかりThe Whoの代表曲になってしまいました。
私もライブで聴きましたが、とってもモダンなロック・ナンバーでした。

ピートがソングライティングした曲は、きちんとThe Whoのライブで演奏可能な曲である事も特筆すべきです。
逆説的に言いますと、ライブでスタジオ盤以上のパフォーマンスが可能な The Whoの演奏技術が素晴らしいです。
"A Quick One (While He's Away)"と、"Baba O'Riley"をカヴァー出来るバンドなんて、そうそう居ませんからね。






モッズスーツを着ても激しい演奏をするThe Who!

MY GENERATION / LTD.ED

27日は、モッズスーツを着て、The Whoのファースト・アルバムを聴きました。
ファッションと音楽との相性は抜群です。

実際にモッズスーツを着て感心するのは、The Whoがライブで、激しいライブでモッズスーツを着ても、ジャケットが大丈夫であることです。。

ギタリストのピート・タウンゼントは、ウィンドミル奏法で、腕を風車のようにグルグル回していても、ジャケットは大丈夫です。

モッズスーツを着ても激しい演奏をするThe Whoに感心してしまいます。
また、The Whoのモッズスーツを仕立てたテイラーも素晴らしいです。

下の動画では、モッズスーツを着てウィンドミル奏法で、腕をグルグル回して演奏する、ギタリストのピート・タウンゼントの様子が分かります。




MY GENERATION / LTD.ED
WHO
POLYD
2016-11-18


"Who"は2019年という時代を反映したロックアルバムだと思います

The Who

12月7日、The Whoのニューアルバム、"Who"がリリースされました。
The Whoの新しいアルバムがレコーディングされるのかどうか、ボーカリストのロジャー・ダルトリーであっても予想が付きません。
ソングライターでギタリストのピート・タウンゼントが、新曲を書かないと、事が進まないからです。

2006年にリリースされた前アルバム、"Endless Wire"から13年間の間にロジャーは、70歳を過ぎてから、どんどんアーティスト性を高めました。
ウィルコ・ジョンソンとコラボレーションした2014年の"Going Back Home"はUK3位という記録を収め、2018年にリリースしたソロアルバム、"As Long as I Have You"はUK8位に達しました。
そのようなロジャーの活動を見て、ピートは少なからず触発は受けているかと思われます。

"Who"ですが、バンドの相棒のロジャーであっても、予想が付かないピートの創作活動の中で突如、The Whoのアルバム用に曲を大量に書いて来たことでレコーディングが進みました
事前にアルバムのリリース前に、既に冒頭の3曲がリリース済みだったので、私の中にすんなりと入って来ました。

前アルバム、"Endless Wire"にと比べて大きく違いますのは、ドラムのザック・スターキーがドラムを叩いている曲が多いことです。
("Endless Wire"の頃は、ザックはオアシスの活動にかかり切りで、1曲しか参加せず)
なので、いつものツアーのメンバーであるザック・スターキーと、ベースのピノ・パラディーノのグルーヴを堪能出来ることです。
これまでライブ盤で聴いていたグルーヴが、スタジオ盤でクリアに聴くことが出来ます。

そして、アルバムの特徴としましては、ソングライター・ギタリストのピート・タウンゼントの曲が粒ぞろいであることです。
ピートが得意とするロック・オペラな曲は、1曲もなく、どの曲もシャッフルで再生したとしても『完成型』であることです。
それは、ストリーミング配信を念頭においたことかと思われます。

近年アーティスティックな活動をするロジャーのボーカルは、まるで黒人ブルース・シンガーがような渋い声を出したり、曲によっては年齢を感じさせない高いキーで歌っていたりと、しなやかなボーカルを披露しています。

総括致しますと、"Who"は2019年という時代を反映したロックアルバムだと思います。
決して、過去の”懐かしい芸風”を再現せず、現代のThe Whoのツアー・メンバーのサウンドを披露し、時代を反映したピートが書いたLylicsも刺激的です。
そして、当世風の凝ったサウンド・メイキングも特筆すべきことだと思います。




ピート・タウンゼントの詩的表現

Tommy

The Whoのソングライター、ピート・タウンゼントが書くLylicsは、時として解釈が難解なこともあります。
しかしながら、印象的なフレーズが多く、時として人生感を一変してしまったこともあります。

私が好きなフレーズを、以下に列挙します。
"I Can't Explain" 『説明出来ない』
"My Generation"『歳を取る前に死にたい』
"See Me, Feel Me"『私を見て、感じて、触って、癒して』
"Won't Get Fooled Again" 『新しいボスと会え!前のボスと同じだ!』

改めて、列挙しますと感じますのは、繊細さと自尊心と反抗心に満ちたLylicsに感じられます。
恐らくは、ピートのパーソナリティーから湧き出る言葉なのかと思いますが、『歳を取る前に死にたい』と『私を見て、感じて、触って、癒して』というフレーズを連続して読みますと、若者ならではの自尊心を体現した言葉であることを感じてしまいます。

さらに、The Whoはピートが書いたLylicsを、ボーカリストのロジャー・ダルトリーが歌うことで完結します。
ロジャーの、ややハスキーな声と黄金のカーリーヘアのルックスから化学反応のように融合し、一気に神々しいロック・シンガーの曲に昇華します。

ピートの難解なLylicsを独自に解釈して歌うロジャーは、頭が良くないと無理だと思います。
何だかんだ言って、The Whoのピートとロジャーは、切っても切れない表現者のチームなのだと思います。


Tommy-Remastered
Who
Geffen Records
2013-11-11

ソングライター、ピート・タウンゼントの率直な主張

The Who

The Who の新曲、"All This Music Must Fade" の配信が始まりました。
この"All This Music Must Fade"の魅力は、ロジャーのボーカルに対するピートのコーラスの掛け合いかと思います。
そして炸裂するピートのギターも魅力で、これぞThe Whoの曲といった感想です。

Lylicsは盗作されたとばかりに、騒動を起こすアーティストへの皮肉となっています。
確かに、1オクターブ当り12音階しかない制約の中で、作曲家達は日々、新曲に取り組んでいます。
作曲家が知らないうちに、他の曲と似た曲が出来てしまっても、やむを得ないのかも知れません。

希代な才能を持つソングライター、ピート・タウンゼントの率直な主張なのかと思います。

ここ数年はヒップホップが全盛の時代ですが、ヒップホップの場合は、"似ている"疑惑は避けられるかも知れません。
もっとも、ヒップホップもバックで鳴っているブレイクビーツが、誰かと似てしまう危険性はありますがね。



WHO
The Who
Interscope Records
2019-12-06

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『シャキーンとした猫』
2019年

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